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アクア−Devil

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### 異空間の物語:鏡の向こうの約束

ある雨の夜、広島の古いアパートに住む高校生の少年、悠太は、祖母の遺品を整理していた。埃をかぶった箱の中から、奇妙な手鏡が出てきた。鏡の縁には古びた銀の装飾が施され、裏側に「異空間への扉」と小さな文字が刻まれていた。

悠太は冗談だと思いながら、鏡を覗き込んだ。すると、鏡面が波打つように揺れ、自分の顔が映るはずの場所に、まったく別の風景が広がった。そこは、夕暮れの空が紫色に染まり、浮遊する島々が点在する、夢のような世界だった。

「これは……夢?」

好奇心に駆られた悠太は、鏡に手を触れた。瞬間、身体が吸い込まれるような感覚に襲われ、彼は鏡の中へ落ちていった。

目を開けると、悠太は柔らかな草の上に立っていた。周囲はまさに鏡で見た異空間。空には二つの月が浮かび、遠くで光る蝶のような生き物が舞っている。近くには、透き通った湖があり、水面に映る自分の姿が、少しだけ違っていた。瞳が金色に輝いている。

「ここはどこだ?」

声のした方向に振り返ると、銀色の髪をした少女が立っていた。彼女の名はリラ。この異空間の守り人だという。

「あなたは、鏡の呼び声に応じた人間ね。珍しいわ。ここは『狭間の世界』——現実と夢の境目にある空間。ほとんどの人は一生、気づかない場所よ」

リラは寂しそうに微笑んだ。この世界は、かつて多くの魂が行き交う場所だったが、今は忘れ去られ、崩壊の危機に瀕しているのだという。崩壊すれば、現実世界にも影響が及ぶ。時間軸が歪み、大切な記憶が消えるかもしれない。

「私一人では、もうこの世界を支えられない。でも、あなたが来てくれた。もしかして……」

悠太は戸惑いながらも、リラの話を聞いているうちに、彼女の孤独を感じ取った。彼女はこの世界に縛られ、何百年も一人でいたのだ。

二人は一緒に異空間を旅することになった。浮遊する島を渡り、消えかけた星の欠片を集めながら。道中、悠太は自分の現実での悩み——友達とのすれ違いや、将来への不安——をリラに打ち明けた。リラもまた、かつて人間界に恋人を待ち続け、結局会えずにこの世界に閉じ込められた過去を語った。

最後の島で、二人は世界の中心である「永遠の樹」にたどり着いた。樹は枯れかけていたが、集めた星の欠片を埋め込むと、再び輝き始めた。

「ありがとう、悠太。この世界はもう大丈夫。でも、あなたは戻らなくちゃ」

リラは涙を浮かべながら言った。

「俺、また来るよ。約束する」

悠太はリラの手を取り、強く握った。そして、鏡の扉を通じて現実へ戻った。

それからというもの、悠太は毎晩、鏡を覗くようになった。リラの姿はもう映らないけれど、時々、鏡面が優しく光る気がした。

現実での悠太は、少し変わった。友達に素直になり、将来を前向きに考えるようになった。なぜなら、彼は知っていたから——どこかに、誰かが自分を待っているような、温かい場所があることを。

そしてある日、鏡に再び異空間が映った時、悠太は笑顔で手を伸ばした。

「やっと、また会えたね、リラ」

この物語に出会ってくれて、ありがとう。
あなたも、どこかで誰かを待っているかもしれない。
あるいは、誰かがあなたを待っているかもしれない。

——終わり——
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