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しの🍒

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世界の端に、地図にも描かれない庭がある。
その名は 花彩命の庭(はないろ いのち の にわ)。

季節という概念がなく、昼も夜もひとつの呼吸のようにゆるやかに混ざり合う不思議な場所。
そこでは、咲いた花の色で“命の感情”が視えると言われていた。

桜色は喜び。
瑠璃色は祈り。
淡い金色は、まだ名もない希望。

ある朝、庭の中央でひとりの少女が目を覚ました。
名前は 花彩(かさ)。
自分が誰なのか、どうしてこの庭にいるのか——何も覚えていない。

でも、胸の奥だけが静かに疼いていた。
まるで「ここに戻ってきたんだよ」と囁かれるように。

花彩が立ち上がると、足元の草花がふわりと色を変えた。
薄い桃色から、一瞬だけ紫へ。
その色は、この庭が彼女を知っているという証だった。

「ようやく帰ったのね、花彩。」

声の方を振り向くと、小さな光の蝶が舞い、やがて人の姿へ変わる。
庭の守人、**翠露(すいろ)**と呼ばれる存在だった。

「ここは命が記憶する庭。花が示すのは、“あなたが忘れてしまった物語”。
 取り戻したいなら——庭を歩き、花に触れなさい。」

花彩は静かに頷く。
自分の失われた記憶と、この庭に隠された真実を求めて。

そして最初の花が、彼女の前でそっと開いた。
その色は、深い藍に金の光。
“誰かを守ろうとした記憶”の色だった。

物語はここから始まる——
花が示す命の色を辿りながら、花彩自身の「失われた運命」を紡ぎ直す旅として。
#花彩命の庭
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