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アメジスト
読書記録です。
西洋中世奇譚集成
妖精メリュジーヌ物語
クードレット
松村剛 訳
講談社学術文庫
本書は、クードレット作「メリュジーヌ物語」と、メリュジーヌ伝説に関する近年の関心の端緒になったジャック・ルゴフとエマニュエル・ルロワ=ラデュリの論考「母と開拓者としてのメリュジーヌ」の全訳からなっています。
「メリュジーヌ物語」はいわゆる異類婚姻譚で、中世ヨーロッパの不思議な魅力が詰まっています。
次々と展開が進んでいく物語なので、飽きずに読むことができます。
まえがきで簡単にストーリーを予習できるようになっており、ストーリーもおとぎ話のように楽しめる内容になっています。
後半では民俗学的見地から、中世と近世それぞれで「メリュジーヌ」伝説がどのように受け取られてきたのかを論考しています。
もともとはクードレットは、パルトネ領主ギヨーム・ラルシュヴェックのためにこの作品を書いたもので、中世においてはメリュジーヌは一族のルーツ、多産と子孫繁栄の象徴としてとらえられていました。
それが時代がくだると、村の年寄りが語り継ぐ伝説となり、メリュジーヌのイメージも農業繁栄へ変遷していったという考察が面白かったです。
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