おもしろい物語を読むのは喜びだけど、それはその作家がこの世界から集めた膨大な素材の中から選び出し搾り取った極上のエキスを飲ませてもらっているようなもの。とても美味ではあるが、味わい続けるだけでは「私」の極上の一滴は(そのヒントにはなるとしても)いつまでも搾り取れないのを痛感する。