初めてバイクの後ろに乗ったとき、俺がチャリンコで切ってきた風は単なるそよ風に過ぎなかったのだと思い知らされた。運転手の服を掴みながら、史上最大の強さで風を切る。たとえ曇天であろうと、そこには開放感がある。圧倒的な速さが世界に確かな色を与えていた。