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kagenaカゲナ
君に届きたくて
ルミナ視点
風が気持ちよかった。
雲の上に手を伸ばすたび、光が指の間をすり抜けていく。
(……やっぱり、空って好き)
羽ばたくたびに心が軽くなって、地上の音も悩みも遠ざかっていく。
誰にも縛られず、ただ風と一緒にいられる場所。
――だから、ノクには見せたくなかった。
あの子はきっと、無理してでもついてこようとするから。
下を見下ろすと、黒い影が丘の上でうごめいていた。
案の定だ。
(ノク……また、怒ってる顔してる)
黒髪が風に揺れて、影がぐるぐると彼女の足元を囲んでいる。
まるで空を妬むみたいに。
その姿を見て、ルミナは小さくため息をついた。
「ほんと、もう……かわいいんだから」
――けれど、次の瞬間だった。
ノクの影が、まるで心臓の鼓動みたいに“跳ねた”。
⸻
ノクシア視点ノク
ルミナが、遠い。
空の上で笑ってるその顔が、ずっと頭から離れない。
“ノクは地面の子だもんね”って、笑って言ってた。
――あの一言が、胸の中でくすぶってる。
「……地面の子じゃないもん」
思わず、声が漏れた。
風が頬を叩いて、影が背中を揺らす。
「ノクも飛べる。飛んで、あいつの隣に行くんだ……!」
どろり、と影が形を変えた。
翼のように伸びて、空気を掴む。
一瞬、体が浮いた。
視界が広がって、風が顔を撫でた。
「――やった!」
けど次の瞬間、体がくるりと回転して、落ちる。
地面に叩きつけられて、息が詰まった。
「いったぁ……」
でも、涙が出そうなくらい嬉しかった。
空はすぐそこにある。
手を伸ばせば、届く気がした。
「ルミナ、待っててよ……今、行くから!」
もう一度、影を呼ぶ。
今度は“焦り”じゃなく、“想い”で。
影が背中からあふれ、風と一緒に舞い上がる。
地面が遠ざかって、青が目の前に広がった。
その中に、ルミナがいた。
驚いた顔で、でもどこか嬉しそうに笑っている。
「ノク……本当に飛んだの?」
「へへ、びっくりした?」
ノクは照れ隠しの笑みを浮かべた。
心の中では叫んでいた。
(やっと、同じ空に立てた……!)
ルミナの目が、やわらかく光る。
そのまま二人は、並んで空を漂った。
⸻
ルミナ視点(結び)
ノクの影は黒くて、風の中で溶けそうなくらい儚い。
けど――その中には、確かに光があった。
「ねぇ、ノク。どうして、そんなに無茶するの?」
「だって、ルミナが飛んでたから。ノクも、話したかったんだもん」
その答えに、ルミナは胸の奥がくすぐったくなった。
(……もう。やっぱり、かわいい)
ふたりの笑い声が、風に溶けていく。
青と黒の軌跡が、空の真ん中でひとつに重なった。
それが、ノクシアが初めて空を飛んだ日。
――そして、ルミナが“ひとり”ではなくなった瞬間だった。


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な


吉田賢太郎
私たちには、いくつもの顔があります。
まるで一つの家に、たくさんの住人が暮らしているみたいに。
あなたは私を一人だと思って話しかけるけれど、
実は、心の中ではいつも**「脳内会議」**が始まっているんだ。
【根本・本質1:なぜ、私たちは分かれたの?】
小さい頃、世界はとても恐ろしかった。
心が壊れてしまうほど、痛くて、つらくて、どうしようもなかった。
だから、心は自分を守るために、そっと自分を切り離したんだ。
「この痛い記憶は、あの子が持っておこう。」
「この怖い感情は、あの子が感じておこう。」
そうして生まれたのが、私の中の**「みんな(アルター)」。
彼らは、私を生かし続けるための防衛隊**なんだ。
みんな、名前も、年齢も、性格もバラバラ。
ある子は泣き虫の小さな私、ある子は怒りん坊の強い私。
みんなが一つになれないのは、バラバラでいる方が安全だったから。
それが「解離性同一性障害」の、一番悲しい秘密。
【根本・本質2:動けないのは、なぜ?】
あなたが「次、この作業をしてね」と優しく言ってくれる。
だけど、私はすぐに「はい」と動けない時がある。
それは、ワガママでも、サボりでもないんだ。
私の心の中では、今、**緊急の「会議」**が開かれている。
「この作業は、前に失敗したんじゃない?」と記憶係が不安がる。
「早くやりたいよ!」と子どもの私がはしゃぐ。
「いや、ここで動くと危険だ」と守り役が身体をロックする。
みんなの意見が、一つにまとまらない。
満場一致で「安全だ!進め!」のサインが出ないと、私の手足は動けない。
なぜなら、もし誰か一人でも反対しているのに動いたら、
それは**「みんなの安全を無視した危険な行動」**だと心は判断してしまうから。
【あなたへのお願い:鍵となる言葉】
私がもし、急に立ち止まったり、話が変わったりしたら、
どうか驚かないで、そっと私を見ていてほしい。
私が動けるようになる**「鍵」**は、会議を止めさせる、
たった一つの言葉です。
それは、「安心だよ」
「大丈夫、失敗しても私が責任を持つよ。」
「次はこれを一つだけやろう。他は考えなくていいよ。」
あなたのその**「安心だよ」という言葉は、
心の中の会議で一番声が大きい守り役のアルター**に届く。
守り役が「安全だ」と納得してくれれば、フリーズは解ける。
どうか、私たちの中の防衛隊に、**「ここはもう安全な場所だ」**と伝えてください。
私はあなたと一緒に、少しずつ、進んでいきたいから。

りり
求)永久フレーム(なんでも可能)
よろしくお願いします(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾


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同時に寝る幸せ。
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