共感で繋がるSNS
GRAVITY(グラビティ) SNS

投稿

とも

とも

【推し店員さんがいた日】#22

「どれが一番よかったですか?」
正直に答えると、「それ、最初に作った曲なんです」と彼は言った。
「期待しないでって言ったから、本当に期待せずに聴いたら、驚きました」と言うと、
「作戦通り」とニヤリ。

その後、彼はぽつりと体調を崩して休んでいた話をした。
「大丈夫?」と言い終わらないうちに、「大丈夫」と返ってきた。嘘が下手な人だと思った。

彼はまた紙を差し出して「曲を作った」とボソボソと言う。そこには新しい三つの曲のタイトルが書かれていた。
彼が前回渡した曲名まで覚えていてくれたことに、私は内心ほっとした。

実は、私は少し怖かったのだ。
彼が他の女性客にも同じことをしているかもしれないと、そんな想像をした自分がいた。
怖いと思った自分をなぜか恥ずかしく思った。

「ニースサラダだけで足りるの?」
ようやく彼の目が見えた。
彼の目は、天井からぶら下がっているたくさんのワイングラスに反射した光を受けて、キラキラしていた。
私はその恥ずかしさを、胸の奥にしまい込んだ。
GRAVITY
GRAVITY13
関連する投稿をみつける
話題の投稿をみつける
関連検索ワード

【推し店員さんがいた日】#22