読書感想：若林正恭『ナナメの夕暮れ』の世界に浸る

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みおこんぼ

2023/04/21

若林正恭「ナナメの夕暮れ」読了。

お笑い芸人オードリーの若林正恭さんが書いたエッセイ集第3弾です。
楽天Koboでお笑い芸人書籍30％オフというのをやっていて、まんまと購入した一冊でしたが、これは思いの外当たりでした[大笑い]

元々オードリーさんは好きで、テレビで拝見してきましたが、普段どんな生活をして何を考えてるとか、そういう風に興味を持つことがなかったんですよね[目が開いている]

読み始めてみると、若林正恭さんの感じていることって、私にとってわかり味の深いことばかりで驚きでした。いや～、とにかく、感覚的な記憶力がとても良い方なんですよね。
過去のあの日、あの時に起きたことと、その時の自分の心の動きや情景を鮮明に覚えている方なんです。だからこそ、エッセイに底知れぬ説得力があります[照れる]

刺さる言葉はいくつもあるけれど、個人的には圧倒的に好きなエピソードがあって…。
夜の散歩で出会った黒いフードを被った男が、怒りのぶつけ場所を探しているかのようにふらふら徘徊していて、物凄い眼で睨んでくる。若林さんは目があったら殴られるような気がして目を逸らし、逃げた後に、その男の去っていく背中から目が離せなくなる。
「違う、違う。お前と俺は多分話が合うんだよ。」って…。
そこからの気持ちの吐露が切ないし、ああ、そうなんだよなって。過去に同じような苦しみや怒りやどん底を味わっていて、きっと話が合うはずなのに、今の自分が「君と一緒」なんていうのはもう許されない。このやるせなさ、わかり味が深いの。私もそういうこと、いっぱいあるな。

ひとつひとつのお話に、共感するところが多いのは、私も歳を取ったからなんだろうな…。
しかしここまでしっかりと、自分の心を言語化できるのは、本当に素晴らしいことだと思います[にこやか]

おそらくこの本の中で有名なひとことを書いておきます。
「ネガティブを打ち消すのはポジティブじゃなくて、没頭だ」

自己の内面に触れる時に、そっと寄り添ってくれるような一冊。オススメです[照れる]

#読書　 #読書メモ　 #若林正恭