あるだけ喜ぼう｜コマの投稿-GRAVITY(グラビティ) SNS

もともと洋服をあまり買わないタイプなのだが（洋服の優先順位が低い）気温が低くなってきて犬がそろそろ寒そうなのと突然湧き出た『愛犬とペアルックを着てみたい』という欲求により、犬と子どもを連れて犬の洋服屋さんに行った。

まずは愛犬にボアのベストを着せてみて、次に同素材&同色の、飼い主用ボアコートを自分が着てみる。そして愛犬を抱っこ。

いい。すごく良い。何だろう、さすがペアルックだけあって雰囲気が完成されている。まさに2人でひとつ。ビスケット一枚あったらあったらジョリーと僕とで半分こ。

しかし高い。値段がアホ高い。いや犬の洋服が高いのは構わない。子ども服が高いのと同じ理由なのでそこは出そうと思っている。しかし『ペアルックがしてみたい』という軟派な理由で、私までこんな高い服を買っても着ても、良いのか…？

分からなくなった私はその場でフリーズした。全身が固まり顔から表情が無くなる。いつもの店長さんと店員さんが笑顔で『どうされます？』という感じで私を見ている。どうしようどうしよう。これ私、買って良いのか？ダメなのか？

結局答えが出せなくて、自分が思っている事をそのまま素直に白状した。

『あの、洋服すごく可愛くて買いたくて、犬に買うのは良いんですけど、私は…私にこんな服、買っても良いのかな、贅沢じゃないかなって考えちゃって…』

言いながらちょっと泣きそうになった。

我が家はひとり親家庭。子どもに障害もある。私も精神疾患がある。ペットもいる。お金しか掛からない生活の中で、優先順位がもともと低い自分の洋服にお金を使っては『ダメ』だと自分は思っているんだなと、そう自分でハンコを押しているんだなと、自分が普段から自分をどう評価しているのかがよくよく分かったのだ。

すると私をよく知っている店長さんが、私のしぼんだ心を吹き飛ばすかのような大声で、笑いながら私にこう言った。

『雨さん、あなた自分の洋服買って良いに決まってるじゃないですか〜！いっつも頑張ってるんだから！良いんですよ！自分を！優先して！』

店長さんの言葉は心に優しく突き刺さり、泣きたくなかったのに目から涙が一粒ポロッと出た。そして私は幾人かの渋沢栄一に永遠の別れを告げた