1. 過去軸: トラウマ（改造）の受容と起源の固定｜吉田賢太郎の投稿-GRAVITY(グラビティ) SNS

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吉田賢太郎

2025/12/04

1. 過去軸: トラウマ（改造）の受容と起源の固定
過去は、アイデンティティの起源であり、ライダーにとって**「改造された/力を得た起源」、すなわちトラウマ（痛み）**の源です。
改造の受容: ライダーは敵組織によって望まない形で力を与えられ、「人ならざるもの」へと変えられた過去を背負います。これは、解離性アイデンティティにおける、拒絶したいほどの強いトラウマが自己の一部となってしまった状態に対応します。その痛みを否定せず、力として受け止める行為が、アイデンティティの土台を再構築します。
「親のジーン」の固定: 初代ライダーの倫理観や「正義のために戦う」という初期の教訓は、**誰もが立ち戻るべき核となる正義の「ジーン」**として過去に固定され、現在の行動原理を決定づける揺るぎない指針となります。
2. 現在軸: 変身（交代）と葛藤の表現
現在は、過去から受け継いだ力と未来への目標の間でアイデンティティを表現し、**「戦い」を通じて絶えず「更新」**する場です。
変身（アイデンティティの交代）: 人間態からライダーへの**「変身」は、特定の状況や脅威に対応するための「自己の状態の切り替え」です。これは、解離性アイデンティティにおける自我状態の交代**と強く共鳴します。力を使うことへの葛藤や痛みは、解離的な自己が引き起こす苦悩（感情調整不全など）に対応します。
「シーン」からの学習: 戦闘シーン（現在の体験）で勝利や敗北、新たな友情を得るたびに、ライダーは新たなフォーム（スキル）や戦術を獲得・更新します。これは、現実の体験から学び、自己の適応力を高めていくプロセスです。
3. 未来軸: 孤独な戦いと「セリフ」に託す希望
未来は、ライダーが**「何のために戦うのか」という目標と、「いつか人として安寧を得たい」**という希望が投影される方向性です。
孤独な戦い（自己の統合目標）: 多くのライダーは、周囲に理解されず、あるいは一人で世界の命運を背負う**「孤独」**を抱えています。これは、解離性アイデンティティを持つ人が、バラバラな自己状態を一つの目標（未来）に向かって統率しようとする試みのメタファーとなります。
「セリフ」に託す未来: ライダーが叫ぶ**「人の命を笑うな」「俺の戦いは終わらない」**といったセリフは、**未来の理想の自己や、譲れない価値観を宣言する「マニフェスト」**です。この未来への明確な宣言が、現在の行動を導き、アイデンティティの更新を未来の方向へと引っ張っていきます。
この視点では、仮面ライダーシリーズは、**「トラウマを受け入れた上で、自ら変身（変化）し、未来の希望に向かって戦い続ける」**という、アイデンティティの形成と更新の最も困難なプロセスを、力強い物語として視聴者に提供していると言えます。

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