八島の無双｜ミロクの投稿-GRAVITY(グラビティ) SNS

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ミロク

2025/09/20

八島の無双
放射線に汚染された遊園地は、かつての賑わいを失い、霧のような緑色の靄が立ち込めていた。崩れた観覧車が錆びついた影を落とし、壊れたメリーゴーランドの馬たちが、風に揺れて不気味に回転する。空気は重く、肌を刺すような放射能の臭いが漂う。ここは白城の辺境、白い街の外縁部。人間の保安官が近づかない場所だ。
八島は、そんな廃墟の中心に立っていた。屈強な白人男性の体躯は、ウェディングスーツに包まれていた。ロングジャケットの裾が風に揺れ、フリルが無数に散りばめられたそれは、まるで花嫁のドレスのように華やかだった。白い髪が肩まで流れ、白い瞳が周囲を鋭く見据える。彼は白城の白の上級保安官。世話焼きで天真爛漫、オシャレ好きで少しだけ寂しがり屋。部下がいなくなった今、独りでこの地に赴いていた。
「…みんながいないと寂しいけど、今日は僕のショータイムだね。オシャレに決めて、綺麗に片付けてあげるよ」
突然、地面が震えた。無人機殺戮ロボット集団が現れた。彼らは人間の保安官の代わりを担う、機械の怪物たち。凶暴な白者と白黒者を討伐するために作られた汚物処理機。黒い装甲に覆われ、赤く光るセンサーアイが八島を捕捉する。数十体もの群れが、ガシャンガシャンと音を立てて迫ってくる。鋭い爪とレーザー砲を備え、放射能に耐性を持つ完璧な殺戮者たちだ。
「汚物検知。排除開始」
機械的な声が響く。
八島はにっこりと笑った。
「君等だっさ。僕の勝ち！で、僕のスーツに傷がついたら、許さないからね！」
彼は背中の大型ホルスターからナイフ型太刀を引き抜く。刃は細長く、金色に輝く。戦闘が始まった。
最初のロボットが飛びかかってきた。爪を振り上げ、レーザーを発射する。八島は軽やかにステップを踏み、フリルのジャケットを翻す。太刀が閃き、ロボットの首を一閃で斬り飛ばす。火花が散り、機械の体が崩れ落ちる。
「一つ目、クリア！」
天真爛漫な声が響く。
群れが一斉に襲いかかる。十体が円陣を組み、同時射撃。赤いビームが八島を包む。だが、彼は素早く回転し、ヒールのかかとを地面に叩きつける。チャッカマン式のバーナーが点火し、青い炎が噴射。蹴り上げた足がロボットの胸を貫き、内部回路を焼き尽くす。
「熱いよね、僕のキック！」
寂しがり屋の彼だが、戦場では無敵の輝きを放つ。
無双のシーンが始まった。八島は遊園地の廃墟を駆け巡る。崩れたジェットコースターのレールに飛び乗り、太刀を振るう。ロボットの一体を斬り裂き、次の瞬間、蹴りで二体を炎上させる。フリルのジャケットが血糊や油で汚れそうになるが、彼は世話焼きのように丁寧に避ける。
「あ、危ない！僕のオシャレが台無しじゃん！」
レーザーの雨をかわし、ナイフ型太刀で連続斬撃。ロボットの群れが次々と崩壊する。頭部を飛ばし、胴体を焼き、腕を切断。放射能の霧の中で、彼の白い髪が舞う。
一際大きなロボットが現れ、砲撃を放つ。八島は観覧車の残骸に隠れ、タイミングを計る。
「みんな、見ててね。僕のスペシャル！」
彼はジャンプし、ヒールのバーナーを最大出力。空中で回転キックを決め、敵の頭頂部を粉砕。爆発が起き、周囲のロボットを巻き込む。数十体の群れが、わずか数分で壊滅した。
息を切らし、八島は地面に膝をつく。白い瞳に少しの寂しさが浮かぶ。
「ふぅ…終わっちゃった。みんながいないと、ちょっと寂しいかも…。でも、綺麗に片付けたから！」
放射線に汚染された遊園地は、再び静寂に包まれた。八島の無双は、今日も白城の平和を守った。

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