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空栗鼠
『やさしい女 白夜』ドストエフスキー
『白夜』は、ペテルブルクの幻想的な白夜の季節を背景にした「儚い夢の恋」を描く。そこにあるのは、ズルい女性と愚かな男性という現代でもよくある関係性で、甘酸っぱくも切ない余韻を残す物語だ。登場人物の未熟さやアンバランスさはあるけれど、全体を包む季節の美しさがそれをロマンチックに昇華してくれる。
一方で『やさしい女』は、その正反対のトーンを持つ。ここで描かれるのは、現代の感覚で言えば「40代の男が16歳の少女を支配する関係」であり、そこにロマンはほとんど存在しない。男は自己弁護的な独白を繰り返すが、その裏に透けて見えるのは彼の支配欲と不器用さだ。少女の孤独は解消されず、最後には死という形でしか出口を見いだせなかった。
つまり、『白夜』が「叶わなかったけれど幸福を残す恋」を描くのに対し、『やさしい女』は「愛がすれ違い、死を招く関係」を描く。どちらも男女の不均衡を描いている点では共通しているが、その結末の明暗の差が大きい。夢のような白夜の恋と、暗闇に沈む独白の悲劇——両者を並べると、ドストエフスキーが人間の愛を“幻想と破滅”の両極から照らし出していたことがよくわかる。

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