これは名手すぎるよ中島。｜Raí @楽の投稿-GRAVITY(グラビティ) SNS

10年前からずっと入退院を
繰り返してた憲一さんは、
全然、言う事を聞かない
悪い事ばかりする患者さんでした。

最後に病院の看取りを希望して入院され、
私の患者さんになり、
毎日、
憲一さんは、ただ寝ているだけでした。

憲一さんに、
何がしたいか質問したら、
「帰りたい」
って。

私は、それから家族を説得して、
憲一さんは、長く生きたいんじゃない。
１日だけでも家に居たい事を伝えた。
患者に入り込み過ぎていると彼は心配していたけど、やめなかった。

2か月経過し、
憲一さんの時間が少なくなってきて。
奥様に、次に奥様に無理だと決断されれば諦める事を約束して。
最後の奥様の返事をいただいた。
「家を出るまでは、断わるつもりでした。
　でも、ルカさんの顔を見たら帰らしてあげたい　　　　　　　　
　と思いました。家に連れて帰ります。」

その答えが、どれほど大変な決断だと分かるため、涙が溢れて感謝しかなかった。

直ぐに自宅退院調整をして。
退院日は、
医師がルカが頑張ってくれたからなって、
最後に1番栄養の入っている点滴をオーダーしてくれて。
無駄な仕事をしない同僚が、朝までにその点滴も着替えも終わらせて
「もう、いつでも退院できますよ。」って。

皆が協力してくれて、
皆が微笑んでいた。

車までお連れし、
お見送りした。

数日で亡くなることを、
もう生きていない事を、
理解して涙が止まらなくなってしまった。

自分が他人に関わった
命の重さを、
初めて感じた。

数日して、
昼寝をしていたら、
滅多に夢を見ない私が、
悪夢を見た。

怖くなって彼にLINEしたら、
「ルカ。
　憲一さん、さっき亡くなったよ」