「情報の海」人生で一度は聞いたことのある言葉である。しかし、現在では情報という怪物を海に喩えることは、少し荷が重くなり過ぎている。今を生きる私達にとって情報とは宇宙そのものであり、もはや何も見ることのできないブラックボックスである。肩肘の張った書籍には情報飽和社会と揶揄されることのある時代だが、情報の元になる事象の量に過去、現在、未来にそう違いがあるものではない。変化したものとは発信源と距離である。情報の始まりは、ただの会話から始まった。赤ちゃんの産声は自身の誕生を周囲に知らせるもっと原始的で単純なニュースである。ただ鼓動が脈打ち生きているという事実を伝達するのみで、そこに一切の嘘や脚色など無い。そこから噂話や近況報告など主婦の皆さまが大好きな井戸端会議、情報をビジネスにした新聞、不特定多数の人が同時に同一な情報共有する事ができるテレビ、そして、一人一人が情報の発信者となり全てを破壊するインターネットと今や情報は人間の支配から逃れ、世界を包み込む第二の宇宙と呼べる存在となった。
『創り上げた宇宙』より
#架空小説書き出し
26 話題の投稿をみつける
関連検索ワード
「情報の海」人生で一度は聞いたことのある言葉である。しかし、現在では情報という怪物を海に喩えることは、少し荷が重くなり過ぎている。今を生きる私達にとって情報とは宇宙そのものであり、もはや何も見ることのできないブラックボックスである。肩肘の張った書籍には情報飽和社会と揶揄されることのある時代だが、情報の元になる事象の量に過去、現在、未来にそう違いがあるものではない。変化したものとは発信源と距離である。情報の始まりは、ただの会話から始まった。赤ちゃんの産声は自身の誕生を周囲に知らせるもっと原始的で単純なニュースである。ただ鼓動が脈打ち生きているという事実を伝達するのみで、そこに一切の嘘や脚色など無い。そこから噂話や近況報告など主婦の皆さまが大好きな井戸端会議、情報をビジネスにした新聞、不特定多数の人が同時に同一な情報共有する事ができるテレビ、そして、一人一人が情報の発信者となり全てを破壊するインターネットと今や情報は人間の支配から逃れ、世界を包み込む第二の宇宙と呼べる存在となった。