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puspisrow
#即興小説
不思議な喫茶店だった。年季の入った金属製の取手を押して中に入ると、様々な国の土産の置物が所狭しと並べられていた。置物は全く関連性を見出せないような雑多さであったが、お店の年季の入った雰囲気と奇妙に混ざり合い、まるでお互いがお互いの同義語であるかのように、何らかのまとまりをもって並べられていた。客席はここからはまだ見えない。左手のレジの奥に通路が続いており、おそらくその先がお店になっているようだったが、入り口からは中の様子はわからなかった。正面のメニュースタンドには「ご来店の際はベルを鳴らしてください。店員がお席までご案内いたします。」と書かれてあった。レジの横にあったベルを見出しておそるおそる鳴らしてみたが反応がなかった。もう一度ならそうかと手のひらを準備していると、静かな店の奥でガタガタと何かが動いた音がした。靴底がコツコツと床を鳴らす音を聞いたとき、左手の通路の方から店員がぬっと飛び出してきた。この街にもこの古びた店にも合わない若い爽やかな風貌の男性だった。「おひとり様でしょうか?」
席についてコーヒーを待つ間、店内をあらためて眺めてみた。土産物の大群は店内にも侵食していたが、入り口ほどではなかった。土産物はお店が歩んできた歴史と明らかに違っていた。
「こちらのお店は長いんですか?」
コーヒーを届けてくれた店員は、サービスの洋菓子の入ったお皿を机に置いた後、お店の静かさに同調するような声で教えてくれた。
「店長が昔通い詰めていた喫茶店が閉店したときに、店長が買い取ったんだそうです。入り口の変な置物は全部店長のなんですよ。私が中学生のときに今のお店になったので10年くらいですかね?」
窓際のテーブル席から外を眺めた。店の隣接する通りは人通りの全くない通り道で、軽自動車がぎりぎりすれ違うことができなさそうな細さだった。私が通ったときも人とすれ違うことがなかった。
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