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夏実

夏実

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#ちょっと思い出しただけ
#ナツの映画レビュー
2022年公開『ちょっと思い出しただけ』
池松壮亮・伊藤沙莉主演のラブストーリー

2021年7月26日。葉(よう)は女性の
タクシー運転手。キャバ嬢らしきお客を
乗せて夜の東京を走る。その頃、照生は
誰もいない舞台の上で踊り、怪我により
手放すことになった夢に想いを馳せる。
物語はここから1年ずつ遡り、7月26日を
繰り返し、かつて恋人同士だった2人が
どんなふうに別れ、すれ違い、喧嘩し、
愛し合い、出会ったのか、描かれていく。

松居大吾監督がクリープハイプの「Night on
the Planet」から着想を得て作ったもので、
今はそれぞれの道を歩く2人の男女がふと
出会った6年前から現在までを回想する、
という筋立てとなっている。

男性クリエイターが作る『過去の恋人を
思い出す』ストーリーには、えてして
女性は共感できないものだ(笑)。
何しろウエットで、未練がましい。
そしてたとえ別れてもかつての恋人に対し
心の奥底で幸せであって欲しいと願う…的な
感傷(というか幻想)が、極めて傲慢で、
鼻につくせいだ。

本作はこのようなありきたりな感傷とは
一線を画し、回想する両者の体温は低く、
その心は乾いている(渇いてはいない)。
まさしく、“ちょっと思い出しただけ”。
その、空気感がいい。

過去を遡るごとに2人の恋愛模様は明るく
色鮮やかになっていくが、あくまでもその
視線が突き放されていて、ドライである。
『この白い線から出たら死亡ね』
『えー?!』
夜の裏通りで子どものようにふざけたのも、
恋愛初期の微熱がさせたことでしかなく、
それは確かにそのときはそこにあったが、
今は永遠に失われたものでしかないのだ。
その、喪失感がいい。

そして現実は過去の日々を乗り越えて、
新しい家族の元へとヒロインを導く。
男が以前と同じ場所で酒を呑む一方で。
この、断絶感がいい。

劇団四季から子役デビューし着実に経験を
積んできた池松壮亮はもちろん、同じく
子役として長いキャリアを持つ伊藤沙莉、
主演の2人が安定した演技力を発揮しており
初共演ながら息のあった掛け合いを見せる。

夏の眠れない夜にちょうどいい一本。
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