取るしか｜すいかの投稿-GRAVITY(グラビティ) SNS

常連っぽい若い女性が先客にいまして、かなりのビールマニア。お店の若い兄ちゃんとお話していました。
耳に入る会話を何となく聞いていました。
ここのブルワリーは女性がやられていて、ビール醸造されているスタッフも女性で、そのせいか１階の立ち飲みにおひとり女性客が多い気がします。

今まで美味しかったビールの話を女性はされていました。
キレのある苦味とか、
しっかりした苦味とか
爽やかな味わいとか、
お酒の味紹介でよく見聞きする言葉を口にされていました。
これ系の言葉って発している人は気持ちよく使っていますが、聞き手は正直よくわかりません。
20代であろう女性はたくさんのビールを飲んできたのまちがいないようです。

私が3杯目のビールを注文したら、

「けっこう飲まれるのですね」

と話しかけてきました。

「今まで美味しかったビールは何ですか？」

先ほど女性が演説していたテーマを私に聞いてきました。
一瞬考えて、私が初めてビール飲んだ時の話をしました。以前にこのお話は投稿したように思いますので、あらましだけ。

20代の私は玄米菜食主義でお酒は一切飲まなかったのですが、議員秘書の頃、私は老人会の方々に気に入られていまして、私がお願いすると一緒にポスター貼りを手伝ってくれる老夫婦がいました。貼り終えて、老夫婦の家で一息つくことにしました。
夏の暑い夕方でした。
私は冷たい麦茶を何となく期待していたのですが、老夫婦はスーパードライの缶ビールを3つ冷蔵庫から出してきたのです。すぐに、

「すみません、私、お酒飲めないのです。◯◯さんたちは飲んでください」
「そうだったけ」
「なんか冷たいのあるか」
「何もないな」
「じゃ、私は水道水でいいです。ほんとすみません」

奥さまは缶ビールを冷蔵庫にしまい、コップに水道水を入れたのを3つ持ってきました。老夫婦の顔は汗がたれています。そしてこの家にはクーラーがありませんでした。扇風機が回っているだけです。
その扇風機は私に向けられて固定されていました。
私は無意識に言葉を発していました。

「缶ビール飲みます。３人で一緒に飲みましょう」

人生初のビールは、私にはアップルサイダーのように甘く感じました。
厳格な玄米菜食をしていたからってのもあります。
私がビールに魅入られた瞬間です、と。