命を食べるということ｜GRAVITY(グラビティ) SNS

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かるぽ

2023/04/29

【文章習作】

殆どの場合、僕たちは生命を食べて生きています。生命を食すること無しに僕たちは自信の生命を永らえる術を持ちません。それは何も僕たちに限ったことではなく、草木も花も、鳥獣も魚介も、ひいては大地さえもその輪廻の中に生きています。

斯様な原理の中に生きる我々は、生まれながらにして他害性をもった存在であると言えましょう。僕はそのことを悪いことだとは思いません。なぜならば、僕が生を終えるそのときには僕の身体は輪廻の理に基づいて分解され、そしてまた次の生命を紡ぐ糧になるのですから。お互い様です。

我死なば焼くな埋（うず）むな野に晒せ
痩せた野犬の腹を肥やせよや

小野小町

そのままの意味の歌です。作者に関しては小野小町と言われる他、時代は下って室町時代の地獄太夫の作という伝説もありますが、いずれも真偽は定かではありません。正直なところ、この歌の迫力の前には作者が誰であったかなんてどうでもいいことのような気さえしてきます。

生命を食って、生命を還す僕たち。ですが、せめてその輪廻の間のひととき。ちょっと余裕があるときくらいは己の他害性など放ったらかして、優しく振る舞える存在でありたいものです。