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あきたいぬ大好き

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#創作BL
#短編小説

 板チョコレートが入ったボウルの中を、泡立て器で混ぜる。綺麗に溶けたら、四つ葉の型に流し込んで、魔導冷蔵庫に入れた。

「ロウガ……おいしいって言ってくれるかな」

 ぽつりと呟き、俺ーーユヴァルーシュは魔導冷蔵庫の扉を閉めた。
 今日は、ロウガの誕生日。チョコレートケーキを作っているところで、さっきのは飾り用のチョコレート菓子だ。

「ユヴァ」
「あっ、ロウガ!」

 俺は慌ててお菓子作り一式を隠す。
 いつもより早い帰宅だな。どうしたんだ。サプライズで用意したかったのに、これだとバレてしまうじゃないか。

「お帰り。は、早かったな」
「誕生日だから。ユヴァと過ごしたくて、定時で上がった」
「そ、そうか」
「今日は俺が夕飯を作るよ。エプロン、貸して」
「あ、う、うん……」

 おずおずとエプロンを渡す。だけど、チョコレートのシミがついていることに気付いて、俺は慌てて奪い返した。
 結果、エプロンの裾が隠してあったボウルに直撃し、床にカランと転がった。

「あ!」
「……?」

 ロウガがきょとんとしながら、ボウルを拾う。

「ユヴァ、何か作ってたのか?」
「……。……えっと、うん。チョコレートケーキを用意してたところ。その、ロウガの誕生日ケーキ……」

 バレてしまった。サプライズで渡したかったのに。
 しゅんとする俺をロウガは不思議そうに見ていたけど、やがてはっとしたような顔をした。そして優しげに微笑む。

「そっか。ありがとう。じゃあーー今、聞いたことを忘れるから」
「え?」
「先に居間に行ってる。……楽しみにしてる」

 額にそっとキスをされ、悪戯っぽくはにかむロウガと目が合う。どきりして、頰が熱くなった。

「ロ、ロウガ!」

 名前を強く呼んでもロウガはくすりと笑うだけで、台所から上機嫌で立ち去っていく。
 まったく……! 人をからかいやがって。
 ーーでも。

「好きなんだよなぁ……あいつの笑顔」

 静かに一人こぼす。
 チョコレートケーキ作りはあと少し。あいつのとびきりの笑顔を見られたらいいな。


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