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涼
# 雪が結ぶ永遠
風が変わった。
歩道を歩きながら、拓也はそう思った。昨日までの秋の匂いが消えて、代わりに冬の冷たい匂いが街を包み始めている。
隣を歩く彩乃の手が、そっと自分の手に触れた。その瞬間、胸の奥が締め付けられるような幸福感が押し寄せる。
こんなにも愛しい人がいるなんて。こんなにも大切に思える人がいるなんて。
「手、つないでもいい?」
彩乃の声は小さかった。でも拓也には、その言葉が雷鳴のように響いた。
「もちろん」
指が絡み合う。その温もりが、拓也の心を満たしていく。このまま時が止まればいいのに。このまま永遠にこの瞬間が続けばいいのに。
空を見上げると、小さな白い粒が舞い始めていた。
「雪だね」彩乃がつぶやく。
今年最初の雪。二人で見る、特別な雪。
拓也は彩乃の横顔を見つめた。雪が彼女の黒い髪に舞い落ちて、小さな結晶が輝いている。なんて美しいんだろう。なんて愛おしいんだろう。
涙が出そうになった。幸せすぎて、胸が苦しい。
「君がいてくれるから、僕は何でも乗り越えられる気がする」
「私も。あなたがいるから、怖いものなんて何もない」
雪はだんだんと激しくなり、街を白く染めていく。二人の足跡も、やがて雪に消されていく。でも、この瞬間の記憶は永遠に消えることはない。
「もしも」彩乃が立ち止まった。「もしも私たちが離ればなれになったとしても...」
「そんなこと言わないで」拓也が彩乃の手を強く握る。
「でも、もしもの時は」彩乃の目に涙が浮かんだ。「星になっても、あなたを見守っているから」
拓也は彩乃を抱きしめた。こんなにも深く人を愛せるなんて。こんなにも誰かのために何かをしたいと思えるなんて。
愛するということの意味を、初めて知った。
雪は音もなく降り続ける。二人を包み込むように、優しく、永遠に。
この街に積もっていく真っ白な雪が、二人の心にそっと想い出を描いている。
「ずっと一緒にいよう」
「うん、ずっと」
雪の華が舞い踊る夜に、二つの魂が永遠を誓った。
季節は巡り、年月は過ぎても、この雪の記憶だけは色褪せることはない。
愛は、雪の華のように美しく、そして永遠だから。
#songtostory
#音楽と言葉
#ことばりうむの星
#音楽をソッと置いておく人

雪の華
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yumi🫧𓂃𓈒𓏸
こんにちわ☀️ 「雪の華」にピッタリで なんて素敵な(ღ*ˇ ˇ*)。o♡ 雪が結ぶ永遠[ハート] 感性がとても好きです✨️ ありがとうございます
yjk☁️
季節は移りゆく。 雪はいずれ溶けて景色も変わる。 時が経つほど、今日繋いだ両手にもシワが増えていく。 だけど、愛という名の「雪の華」は溶けないし、腐ることもない。 ずっと僕らの胸の奥で、静かな熱を宿したままキラキラと輝いている[照れる]