川がせせらいでる音がする☺️｜はるまの投稿-GRAVITY(グラビティ) SNS

第四話(全四話)

鬼の肩に乗って進んで行くと、ピンク色の桃の花が沢山咲いた、それはそれは美しい里に着きました

鬼はマジ卍太郎を地面に下ろして、切り株に座らせました

3人の友達と小鬼が、その周りに座りました
鬼は埃を立てないように、ゆっくりとあぐらをかいて座りました

うちのせがれが世話になったんやな、おおきに

鬼はそう言ってペコりと頭を下げました

ここはな、桃源郷ていうて
まぁ、鬼の里やな

ホンマは人間は入れへんねん
今回は特別やで

マジ卍太郎ていうたかいな
ワレ、優しい子やな

ワシら鬼は何でも見通してるんや
察してるかもしらんけどな

ワレのオカンが拾た桃
あれな、この桃源郷の桃やねん
ホンマは人間が食べたらあかんのや

八兵衛ていううっかり者の鬼がおってな
間違えてあの桃を川に流してしもてん
それを、ワレのオカンが食うたんやな

まぁ、済んだことはええねん
悪いのはこっちやし
ただな、もうこの里には入れへんさかいに、来たらあかんで

そう言うと、鬼は小さなツボを取り出しました

ええか、このツボはな
振ったら米が出てくるんや

そやけどな、出てくる米は一日に必要な量の半分だけや
とてもやないけど、腹いっぱいにはならん

なんでや言うたら
人間は楽したらダラケてしまうさかいな

残りの半分の食いもんは、自分らで何とかしいや
大丈夫や、半分あったら飢え死にすることはあらへん
貧しいさかいにいうて、子供を旅に出すこともあらへんやろ

マジ卍太郎は、ツボを受け取りました

ありがとうございます

マジ卍太郎は鬼に向かって深々とお辞儀をしました

ワレは、心根の優しい子や
その気持ち、いつまでも忘れんときや
達者で暮らすんやで

そう言うと、鬼も立ち上がりました

ほな、さいなら

鬼が棍棒を空に一振りすると、鬼も小鬼も桃源郷も、消えてしまいました

残ったのはマジ卍太郎と3人の友達
そして、鬼からもらったツボだけでした

マジ卍太郎は、誰ともなく
もう一度頭を下げました

そして、3人と一緒に両親の元へと帰ったのでした

めでたしめでたし

おしまい

#おとぎ話