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#朗読会るぴなす💠
#暦の話
魚鱗癬(ぎょりんせん)という
全国でも200人程度しか観測されない
不治の病がある
名前の通り、皮膚が鱗状を示し
乾燥して剥がれ落ちる遺伝性疾患の一種だ
伝染しないが
遺伝なので後天的に発現することがあり
軽度のものはアトピーや乾燥肌と
混同され魚鱗癬と気づかない
遺伝性疾患というものは一体なんなのか
一説によれば突然変異を意味するそうだが
これは生物の進化を引き起こす因子でもある
人類史というとき
科学の文脈は先史時代を取り扱う事が多いが
有史へと目を向けると最古の記録は
ギリシャの紀元前500年頃の著作であり
この時点で300年間の歴史がある
つまり我々と同じように文字を扱う
文明の歴史はおおむね2800年程度で
この間、人類に
遺伝的ブレイクスルーがあった形跡はない
指を六本持つ巨人ゴリアテに限らず
人類史に突然変異が登場した形跡はあるが
その遺伝子が脈々と受け継がれ一大勢力を
作る事はなかった
せいぜい白人優位のレイシズムを生む程度で
思想対立の原因になり得ても
生存に影響を及ぼすほどの
生化学的優位は発現していない
しかし今後もそうなんだろうか?
単因子遺伝性疾患の記録は意外に多くある
そしてそれは医学の進歩によって
数を増している
中島敦の「狐憑」は
世界最古の叙事詩の著者ホメロス以前に
ストーリーを創作する吟遊詩人を
主人公としてその末路を描いたものだが
当時、彼のような存在を定義する言葉が
存在しなかったため
彼は「憑きもの」として扱われ殺される
先史時代における
ホモ・サピエンスの優位性は
こうした形のない概念や虚構のようなものを
理解する力であったとされ
言葉や文字の発明はここから起こった
ということは現代我々が
知性と考えているものは
先史時代の疾患の一種だった事にならないか
人を人たらしめる進化としての知性
それを支える精神や心が
疾患の一種だったとすると
70億人すべてが難病患者である
成程、生きる事は大変なわけだ
魚鱗癬患者にはコミュニティが存在し
申請すれば政府から補助金が
交付される可能性がある
彼らは今も
己の遺伝子や偏見と闘っている
彼らの闘争を見る限り
私の疾患は一般的な突然変異で楽な方だ
この闘争は遺伝して
将来、人の進化になるかもしれない

魚上氷
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#朗読会るぴなす💠 投稿者
実は2月2日付けでずっとロールモデルにしていたアプリ版暦生活がサービス停止しました。2月4日時点で既にこの暦の投稿も1周年なので、ここから4月1日までの更新はほぼ短歌のためだけに投稿していますが、せっかくなので暦という枠組みを少し越えて、期間限定のエッセイスタイルにしてみようと思います
komichi
私は現代では疾患とされるものを多数持っていて、危うく薬漬けされそうになってから、いいように逃げて来たのですが、何か形あるもの、バタフライイフェクト残せるといいなと思ってます
彼方@休眠中
人を人たらしめる進化としての知性 それが先史時代の疾患の一種…… なるほど、と唸りたくなる内容でした 最終的には絶対数の数や健康体かが優勢になってきて その時代の変化とともに適合し、 生き残る数が多い方を正常とし、その枠組みから外れたら疾患とみなされる 言葉にしてみると急に恐ろしく見えるのも不思議な話ですね[目が開いている]