基本的に朝、家に帰るのは好きじゃあない。気持ちよく酒を飲んだら気持ちいいベッドで寝たいと思うのは万国共通だ。新宿という街には硬いコンクリを枕にして寝たいといふ物好きもいるようだが、とうてい理解できない考えである。足を投げ出し無防備な格好で横になる禿げた親父を横目に僕は改札をくぐり抜けた。『カサブランカ』より#架空小説書き出し