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わんわん
全10話。
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『血紅龍と香水』
第1話
二十歳の時、俺はその年頃の男子にありがちな、大人の世界への漠然とした憧れを抱いていた。
そこで、近くの繁華街にある雰囲気のいいバーでアルバイトを始めた。
その薄暗いバーには大きな水槽があり、その中を大型の淡水魚がゆったりと妖しげに泳いでいた。
日焼けしたプーさんのようなマスターは、ハチミツの代わりにビールを舐めながら言う。
「ずっと大きな魚が飼いたかったんだよ。経費で飼えるなんて最高だろ?」
店はまあまあ繁盛していた。
大きな水槽を取り囲むように配置されたカップルシートでは、発情期のない男たちが年中女性を口説いていたし、奥にひっそりとあるカウンター席では、夜な夜な常連客が不平不満を吐き出していた。
そんな中、月に1回くらいのペースでカウンター席に座る、30歳くらいの品の良い女性がいた。
いつも一人で来店し、高めのワインやシャンパンを一本開ける。
「一人で飲んでもつまらないから……」
そう言って、いつもマスターやスタッフたちにも振舞ってくれた。
グラスを持つ細い左手の薬指には、大きな宝石が入った指輪が光っていた。
その女性は時々俺を呼び、耳打ちするように小声で話すことがあった。
話の内容は天気の事とか、ほんとうに取り留めのない内容だった。
しかし、その人が顔を近づける度に、濃密な香水の香りが俺の鼻をくすぐり、否応なく鼓動が高まった。
その香水は、なんというか、無垢と情熱が混ざりあってチェリー樽で熟成したような、そんな香りだった。
……あれから長い年月が経ったが、俺はまだあの人以外にあの香りを纏った人を知らない。
#紅血龍と香水
#連載小説

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小説って感じする… 日焼けしたプーさん…ハチミツの代わりに舐めるビール…このワード中々おもしろい