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わんわん
『一片の雪』
第8話
「モデルになってくれないか?」
いつものバーで、高橋と2回目に会ったときだった。
「今、結婚式場の広告を作ってるんだけどさ。君、背も高いし、絵になると思うんだよ〜」
彼は広告業界で働いていた。
「紙媒体じゃないからさ。WEBに小さく載るだけだから〜!」
「だったら、よけい怖いじゃないですか〜」
俺は断ったが、最終的には引き受けてしまった。
高橋の熱意と、そもそも俺の中にある「何でも経験したい欲求」に負けたのだ。
撮影当日。
場所は、都会の中にあるチャペル。
結婚の相手役は、笑うとエクボができる小柄なモデルさんだった。
俺は、シルバーの燕尾服を着て、蝶ネクタイを締められた。
スタイリストに髪をいじられ、薄く化粧までされた。
やがて、会場に純白のウエディングドレスを身にまとったモデルさんが現れ、撮影がスタートした。
モデルさんの正面に立ち、その顔に掛けられたベールを持ち上げる。
間近で見るモデルさんはとてもきれいで、ドキドキした。
しかも横から、興味津々な小学生のように、丸いカメラレンズが覗き込んでくるのだ。
俺は終始、引きつった笑顔だったと思う。
様々なシチュエーションを撮影し終わり、ノートパソコンで出来上がり写真を見せられた。
俺は驚いた。
そこには、まるで愛しあう二人の幸せの絶頂の瞬間があったのだ。
俺は広告という、嘘を本当の事のように見せるためだけの仕事に恐怖すら覚えた。
「いや〜! 良かったよ〜!」
高橋は謝礼とは別に、居酒屋で御馳走までしてくれた。
「……つまりさ、CMに起用するタレントは、その企業の顔になるから、どんなささいな役の人でも徹底的に調べ上げるんだ」
酔った彼は、広告業界について熱弁した。
「だからうちの会社のパソコンでは、様々なタレントのデータが見れる。有名じゃないタレントでも、過去にどんな仕事をしたか、スキャンダルは無いか、などほとんど分かるんだ」
「……有名じゃなくても、データがあるんですか?」
「データは芸能事務所から提供してもらうんだ。だから、事務所に所属していれば、どんなに無名でもデータはある」
慣れない日本酒の酔いのせいか、俺は聞いてしまった。
「西川 栞という女性タレントなんですが……」
#一片の雪
#連載小説

ショパン:夜想曲 第2番 変ホ長調 作品9-2
コメント
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え。新婦役じゃないの? ショパンキタ━━(゚∀゚)━━!!✨ しもやけさーん!
✧𝕋𝔸𝕄𝔸𝔾𝕆͙٭͙✧
うォオオオ‼️遂にわんわんとの共通点が見つかったァァァ‼️ 私もウエディングモデルした事あるぅ😆🤞🏻で、この写真わんわんなん❓