恐るる事はない、誰しもが行く道と思いつつ、まだ揺らぐほどに怖い。そもそもだけれど、近親者や愛する者との死別を経験したからといって死を目の当たりにしている当事者の本質的な悲しみと苦しみ、葛藤はわからない。愛別離苦の苦しみと肉体の死への恐怖、生への執着は別の物だから。死を間近に経験してから、死ぬ事以外の事は何も恐れる事はなくなった。その分、突然に持病が悪化して思いもよらぬ所で最後を迎える事が恐ろしくなった。