愛するゆえの苦悩も愛されるゆえの苦悩も、同じようにそこにあろうかと思います。もし幸せが喜びだけのことを言うなら、私には愛が幸せの代名詞とは思えないのです。それでも人が愛に幸せを感じるのは、きっと喜びからではなく、誰かを愛するという心の中に、ある種の誇りのような、静かに湧き上がる感情があるからではないでしょうか。
人が苦しみを感じることで大多数を占めるのは、自分ではコントロール出来ないものに振り回されることである。自身の感情は自身で変えられるが、他者の感情は変えられない。愛することは自発的、愛されることは受動的。どちらを己のコントロール下に置けるかという視点において、愛することの方が処理をしやすいならば、愛される事を確定させておく方が、精神衛生上、後々楽であるかもしれない。