あなたが弾け飛ぶと、無数の欠片はガラスのように光を浴びて瞬き、小さな虹たちが美しさを演出しながら、あるものは私の頬を、あるものは私の指先を、鋭利なナイフのように切り裂いていく 赤い飛沫に祝福されながら、欠片はさらに淡々と、その身に湛えた苦しみや悲しみを私に刻み込む もう手遅れだと知りながら、私は口を目一杯に開くと、味蕾に届いたあなたの最期は、砂糖菓子のように甘くて儚かった
必死になって追いかけた 無数のすすきをかき分けて走った 風に揺れて穂が波のようにざわめいた 空は星一つ輝いていなかった 冷たい空気が肺を満たした 喉の奥に血の味がにじんだ 彼女の背中は闇に溶けて今にも見失いそうだった 足を止めたら二度と会えない気がした 遠くの灯台が赤く明滅していた