
Lalala(ララ)
Lalala(ララ)
noteというプラットフォームで小説を書いています。
スマホを変えたので、また新規からです!
ここにも時々短い小説を書いていこうと思っています。
Lalala(ララ)
強靭な神経の持ち主!
お話し好き聞くのも好き!
#フォートナイト
#恋愛
#料理
#小説
#ウォーキング&筋トレ

Lalala(ララ)
Scene: 早朝の教室 朝日 黒板一面のチョークアート 黒板消しを持つ少女
噂になっていた。「朝、教室に来ると黒板がうっすら白い」と。 僕はその正体を確かめるため、午前6時に教室のドアを開けた。
息を呑んだ。 黒板一面に描かれていたのは、チョークだけで描かれた「窓」の絵。 そこからは、見たこともないような幻想的な空と海が広がっていた。 描いていたのは、不登校のクラスメイト、ヒカリだった。 彼女は、人が怖くて教室に入れない。だから、誰もいない時間に来て、絵の中でだけ「外」へ飛び出していたのだ。
「……見ないで」 彼女は僕に気づくと、慌てて黒板消しを掴んだ。 「待って! 消さないで、すごく綺麗だ」 「ダメなの。チャイムが鳴ったら、私は消えるの。この絵と同じ」 彼女の手が震えている。
僕はポケットからスマホを取り出し、カメラを起動した。 「じゃあ、せめて残させて。君がここにいた証拠を」 カシャッ。 シャッター音が、早朝の静寂に響いた。 彼女は消すのをやめ、少しだけ泣きそうな顔で、描いたばかりの「窓」を見つめた。
Epilogue: 消せなかったメッセージ
翌朝も、ヒカリは教室にいた。 昨日撮られた写真を消してもらうよう、僕に頼むつもりだったらしい。 けれど、彼女は黒板の前で立ち尽くしていた。
黒板の、彼女が描いた「空と海の絵」の周りに、無数のカラフルな付箋が貼られていたからだ。 『なにこれ、すげー!』『消すのもったいない!』『この海、行ってみたい』 僕が昨日、クラスのグループチャットに写真を一枚だけ投稿した結果だった。 みんな、早起きして見に来たり、放課後にメッセージを残してくれたのだ。
「……私、消さなきゃいけないのに」 彼女の声が震える。 「消せないよ。みんなが『残して』って言ってるんだから」 僕が言うと、彼女は両手で顔を覆い、その場にしゃがみ込んだ。 指の隙間から、ポロポロと涙がこぼれ落ちる。それは悲しい涙ではなく、初めて世界に「色」を受け入れられた、安堵の涙だった。 その日の黒板は、授業が始まっても、先生の配慮でそのまま残された。
(完)
#黒板アート #不登校 #承認欲求 #ほろ酔い文学


Lalala(ララ)
Scene: 雨の降る玄関先 閉ざされたドア 傘をさして立つ主人公
「……ごめんなさい。今日も、行けない」 インターホンの越しに、ユキの消え入りそうな声が聞こえる。 彼女は、完璧でなければならないという優等生の呪縛に囚われ、ある朝突然、靴が履けなくなってしまったのだ。
僕は、傘を握り直して、いつもと同じように明るく答える。 「わかった。じゃあ、また明日来るね」 「……どうして? どうして怒らないの?」 「怒る理由がないよ。君が元気でそこにいてくれるだけで、僕は嬉しいから」
説教も、励ましもしない。ただ毎日、彼女の存在を肯定しに通う。それが僕の約束だ。 雨の日も、風の日も。
そして2週間後。雨上がりの朝。 「……おはよう」 ガチャリ、とチェーンの音。 ドアがわずか15センチだけ開いた。 隙間から覗いた彼女の瞳は、まだ怯えていたけれど、確かに外の光を求めていた。 「今日は、空がきれいだよ」 僕が言うと、彼女は少しだけ、本当に少しだけ笑った気がした。
Epilogue: 鎖(チェーン)が外れる音
「……待って」 僕が背を向けかけた時、背後で金属的な音が響いた。 ジャラッ。 それは、彼女を世界から隔てていたドアチェーンが外れる音だった。
ゆっくりと、重たい鉄のドアが全開になる。 そこには、眩しそうに目を細め、裸足のまま玄関タイルに立ったユキがいた。 15センチの隙間からでは見えなかった全身の姿。 彼女は大きく深呼吸をし、震える足で、一歩だけ外のアスファルトへと踏み出した。
「……雨の匂いがする」 「うん。もうすぐ虹が出るよ」 僕たちは並んで空を見上げた。 まだ遠くには行けないかもしれない。でも、この一歩は、数千キロの旅よりも偉大な一歩だ。 僕の傘はもう、彼女には必要なかった。
(完)
#不登校 #第一歩 #雨上がり #ほろ酔い文学


Lalala(ララ)
夕暮れの沖縄の離島 赤瓦の古民家 大きなガジュマルの木 遠くに海
「……本当に、来てくれたんだ」 樹齢数百年と言われる巨大なガジュマルの木の下。 東京での仕事に疲れ果て、逃げるように島へ帰ってきたナミは、そこで三線(さんしん)を爪弾く幼馴染のカイを見つけた。
5年前、この木の下で交わした約束。 『もし、都会で息ができなくなったら、いつでも帰っておいで。俺はここで、風を待ってるから』 あの時は笑って聞き流したけれど、心のどこかで、ずっとその言葉をお守りにしていたのだ。
「おかえり、ナミ。顔色が悪いさァ」 カイは変わらない日焼けした笑顔で、三線を置いて手を差し出した。 その手は温かく、潮の香りがした。
「ただいま……」 張り詰めていた糸が切れ、ナミの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちる。 島を渡る南風(パイカジ)が、二人の髪を優しく撫でた。 時間はゆっくりと流れ、傷ついた心を青い海の色に染め直していく。日が沈み、波音が夜のリズムに変わる頃。 空を見上げたナミは、息を呑んだ。 頭上には、島を横断するように白く輝くティンガーラ(天の川)。 都会の空では絶対に見ることのできない、圧倒的な光の川がそこにあった。
「カイ、見て。すごい……」 「ああ。俺たちの約束も、この星みたいに変わらずここにあったさァ」 カイが再び三線をポロン、と鳴らす。その音色は、星の瞬きとシンクロするように優しく響いた。
ナミは涙を拭い、スーツケースを手に取った。 「……お腹すいた。おばぁのソーキそば、まだ食べられる?」 「当たり前さ。おばぁも首を長くして待ってるよ」
二人は並んで歩き出した。 頭上の天の川が、二人の帰る道を明るく照らしていた。 もう、迷子じゃない。私は私の場所に帰ってきたんだ。
(完)

