8月SS「大人の夏休み」
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トモモ
中学からの同級生は、そう言ってからアイスティーのストローをくわえる。残り一欠片のレアチーズケーキをフォークに刺した状態で、私は「えっ」と固まった。この子は本当に、突発的に難しいことを聞く。
「……それ、数字答えて欲しい系?」
「んー、じゃあとりま、参考までに数字ちょうだい」
どうやらある種の思考実験が始まっているらしい。彼女がどんな答えを得たくて、何を知りたくてその問いを投げたのか、その一切を掴みきれないまま、私は考えた。
小学生の頃の夏休みはラジオ体操と水泳と公園、あとは塾の夏期講習など、とにかく外に出てた。元気すぎる。中学生は運動部だったから、ほぼ毎日学校で時々遠征。カラオケとか友達の家にも行った。高校生の頃はバイトと塾とテーマパーク。大学生はバイトとスイーツビュッフェと旅行。何だろう、だんだんと活動できる範囲は広がってるけど、屋外にいる時間は減ってるような。
けれど大学生の時なんて夏休み2ヶ月近くあったのに、あっという間だった。小学生の頃は1ヶ月でも体感もう少し長かったのにな。これが俗に言う「歳をとると時間が経つのが早く感じるようになる」ってやつ?
口の中でレアチーズが溶け、クッキー生地は水分を奪い始める。私もアイスティーおかわりしよう。
「シンキングタイム長すぎない?」
「しょうがないじゃん」
おかわりを頼んで腕時計を見る。8月16日の日曜日、午後2時半。
「んーだってさ、今日がまさしく夏休み……的な」
「その心は?」
「久しぶりにゆっくり話せて、ケーキもおいしい!」
「そしてこのアフヌンはTWININGSの紅茶飲み放題!」
「ポイント高いよね〜!」
あはは、と笑い合ったところで、私個人の答えは出た。
「数字じゃないや、夏休みって。大型連休じゃなくてもいいみたい、大人だし?」
「おお〜」
「てか結局この質問なんだったの?」
彼女は向かいの席でカラカラと氷を鳴らすだけで、私の問いには視線だけで返す。私の顔と、その次に右手側に置かれたスマホ。つられてスマホに目をやれば、ちょうどピロンと通知が来る。うわ、会社の人。
「……無視無視!今日は夏休み!」
「うん!そーだね」
さっき、彼女に問いかけられる前、同じように来た通知に対して私はすぐに開いて返信した。会社にいなくても、働いてるみたいに。
「なんか、ごめん。……ありがとね」
「別に?私は『大人の夏休みって何だろう』って思っただけだし?」
「そっか」
今度はふふっと笑い合って、2人でマカロンを頬張った。
#創作 #夏休み

かんくん
「勝手に猫が好きシリーズ 第2話 大人の夏休み」
こちらのサイトにアップしました↓
https://pockethanashi.github.io/gravity/story.html?id=5
画像は途中までになります🙇🏻




manacuba

さっぽろ
3択で綺麗に三票割れてしまったので
私個人の一票を追加し「大人の夏休み」となりました
最終決定に公平性がなくてごめんなさい[大泣き]
今月もぜひ参加してみてください!!

