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作者、はるまき
第一章 『弱肉強食・転』
第一章2 『食事』
そのアオイの声には、安心感があった。
「ハヤトが急に電話に出なくなるから心配してたんだぞ?ハヤト、何かあったのか?まさかフードモンスターに襲われたとか?ちなみに俺は今、アカリと一緒に散歩中だ。そんじゃ、またな」
アオイはそう言って電話を切った。
とりあえず、アオイの声が聞けただけでも今は助かる。
アカリというのはアオイの妹で、今年で5歳になったらしい。
でも、今アオイに会うことは出来ない。
会った瞬間、逃げられるか通報されるに決まってる。
こんな姿じゃ当たり前のことだ。
「何だ人間、俺の姿を見られるのがそんなに怖いのか?俺の姿がそんなに嫌なのか?」
「違ーよ、バカが。もしも今俺が他の人たちに見られたら、フードモンスターとして処理されかねないってことだよ」
「安心しろ。その時は俺がその人間共を全員殺してやるよ。お前の体は俺の体だから、所有権は俺にもある。今はまだ体の所有権をお前にあげてやってるだけだ」
ちくわのその言葉に、俺はさらに腹が立った。
「もしお前が人を殺したら、その時は俺がお前を殺す」
「いいのか?俺が死んだらお前も死ぬことになるんだぞ、人間。そもそも、俺たちフードモンスターにお前ら人間が勝てるわけないだろう」
「構わない。たとえ俺たち人間がお前らフードモンスターに敵わなかったとしても、俺は絶対にお前を殺す。ただそれだけだ」
「ふっ、随分と生意気言うじゃねーか、人間。まぁせいぜいお前の命が尽きる前に俺を殺してみろ」
ちくわはそう言って俺を煽った。
ちくわにとっては、俺たち人間はまったく脅威ではないのだろう。
だが、そんなことはどうでもいい。
俺は絶対にフードモンスターを殺す。
「ちなみに、俺の寿命はあと何年ぐらいだ?」
「俺がこのままお前のエネルギーを吸収し続けたら、お前の寿命はあと3年ってとこかな」
予想以上に短かった。
つまり、3年以内にちくわを殺さなかったら俺は死ぬのか。
「どうした人間、怖気づいたか?3年以内に俺を殺すなんて無理な話ってことだよ」
ちくわは再び俺を煽ってきた。
確かに、3年以内にちくわを殺すのは無理かもしれない。
そもそも、ちくわの体は俺の体でもあるから、ちくわと俺を分断でもしない限り両方死ぬだけだ。
分断する方法もフードモンスターを殺す方法も知らない俺は、こいつらにとってはただの無力な人間の1人にすぎない。
そんなことは分かっている。
でも、だからってこんなクソ野郎共を生かしておきたくない。
「おい人間、さっきから考えてることが物騒だぞ?俺とお前は同じ体で、俺の体を共有しながら生きていくんだ。ちょっとは仲良くいこうぜ?」
「お前は黙ってろよ、ちくわ野郎」
「またピリピリ来ちゃってんのか、人間。あー怖い怖い。あはは、かっこいいね〜〜〜」
よく考えたら、このちくわ野郎はあまりにも言語を知りすぎてる。
今みたいに、俺をバカにすることもできるほどに。
他のフードモンスターより知能が高いとして、一体どこで言語を習得したのだろうか。
とりあえず、こんなクソ野郎と話しても無駄だということだけは分かるが。
「ちくわ野郎には絶対に体の所有権は譲らないからな?」
「お前本当に人の話聞かねーな、人間。この体は俺の体なんだから所有権は自由に変えられるってさっき言っただろ。だから、俺が誰かを殺したいと思ったら体の所有権を俺に移してそいつを殺すことだってできるんだよ」
ちくわと喧嘩をしていると、再び電話がきた。
誰かと思って見てみたら、またアオイだった。
俺は応答ボタンを押して、
「あ、ハヤト、久々に遊ぼうぜ。最近はフードモンスターって怪物が人を食って学校は閉鎖されてて俺たち全然会ってなかっただろ?だからたま……………」
そこで電話は切れた。
「ん?アオイー?アオイーーー?おーい、どうしたーー?」
俺は突然電話を切ったアオイに違和感を覚え、何度かアオイに電話をかけたが、まったく出なかった。
「おかしい、アオイが急に電話に出なくなった。もしかして充電切れか?」
その時、どこからか謎の衝撃音が響き渡った。
建物を破壊する音。
俺はその音が聞こえた方に向かった。
そこにあったのは、路地裏だった。
俺がその路地裏を覗くとそこにはりんご、おそらくフードモンスターとアオイがいた。
俺がそのりんごの方をよく見た瞬間、俺は見てはいけないものを見たのだと悟った。
そのりんごは、アオイの妹のアカリを食べていたのだ。
アカリの首を切って生首から出ている大量の血をジュースのように飲みながら、腹を引き裂いて大腸や小腸を引っ張り出し、両腕を引きちぎってその両腕を箸のように使って大腸や小腸を麺のを啜るように食っていた。
それはまるで、人間の食事の仕方を真似しているかのようだった。
「えっ」
ハヤトはその光景を見て、あまりの驚きで言葉を失った。
アオイは目の前で自分の妹を食われて、腰を抜かしていた。
他人の妹が食われただけでも言葉を失うレベルだから、自分の妹が食われたらショックどころの話ではないのは容易に想像できる。
俺も、両親がフードモンスターに食われたから尚更気持ちは分かる。
そして、りんごは妹を食べ終えると、アオイの方に標的を向けた。
俺はただ、その光景を見ていることしか出来なかった。

らぷち
助けれないなら、助けれるふりしないでよね

setuna
可哀想とか親不孝とか言われそうだけど、私のことをちゃんと知ってる人たちは絶対言わないと思っているから、そこは安心。
はあ、大人になると変に悩まされるよ…

CLEAR
今度、旅行に行くので教えて下さると助かります
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