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最近、僕はある一つの聖句にずっと引き込まれています。
申命記6章4節。
「聞け、イスラエルよ。我らの神、主は唯一の主である。」
この言葉、ユダヤ教では「シェマ」と呼ばれ、最も大切な祈りの一つです。
「シェマ」とはヘブライ語で「聞け」という意味。
ただ音として耳に入れるのではなく、心を澄まして、全身で受け止めよ、という強くて深い呼びかけです。
「主は唯一」というヘブライ語は「アドナイ エハド」。
この「エハド」は、単なる数学的な「一」ではなく、調和した統一性を表す言葉だと言われています。
神はばらばらではなく、すべてを結び合わせ、関係性そのものであるような「一」。
この一節だけで、申命記、いや聖書全体の核心に触れる気がするのです。
僕がこの言葉に込められた重みを感じたのは、それが単なる教えではなく、約束の地を目前にしたモーセが、これから様々な誘惑や困難に直面する民に、何としても伝えたい「命綱」のようなものだったからです。
エジプトでの奇跡も、荒れ野での試練も、すべてはこの「聞く」姿勢と、唯一の神との関係性の中で意味を持つ。
申命記は、歴史の繰り返し叙述ではなく、その核心を「今、ここで」生きる民へと更新し、受け継ぐための書なのだと気付かされました。
だからこそ、申命記には「覚えていなさい」「忘れてはならない」という言葉が何度も繰り返されます。
それは過去に囚われろという意味ではなく、あなたがたの「今」は、この神との出会いと契約の延長線上にある、ということを刻み込むため。
祝福と呪いが語られるのも、それが遠い神の裁きではなく、私たちの選択が今ここに生きる関係性を形作っていく、という厳粛な現実だからです。
僕はまだ、この「聞く」という姿勢を、自分の生活の中でどう生きるか、模索しているところです。
スマホに流される情報をただ受け取るのではなく、心を澄まして、本当に聞くべきことは何か。
バラバラになりがちな日常の出来事を、どんな「一」へと結びつけていくのか。
申命記は、そんな根本的な問いを、僕の胸に静かに、しかし確かに置いてくれました。
このモーセの最後の説教に込められた切実さや、神と人との関係性の深さは、言葉で読むだけではなかなか伝わりづらいものもあります。
僕自身、石川尚寛さんの「モーセ五書マンガ」で、モーセの老年のまなざしや、民への思いがビジュアルで表現されているのを見て、ハッとさせられることがたくさんありました。
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