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完全に息抜きです。
こんな感じにストーリーのワンシーンだけ浮かんだ!みたいなのも投稿するのはありだと思うので載せておきます。


〇ストーリー案
細い路地裏。逃げる二人。
何度も曲がってきたが追っ手は二人のことを見失う気配がない。
追っ手はすぐそこまで迫っている。
「このままじゃ二人とも捕まるだけ。あんただけ先に行って!」
由未璃(ユミリ)は足を止める。
「でも・・・」
「いいから!」
雨津羽(ウヅハ)の言葉は由未璃の声で止まる。
まさに追っ手が建物の角から姿を現した。
追っ手は何の躊躇いもなく二人に魔導銃の銃口を向ける。
何も声が出せずに迷っている雨津羽にイルルが囁く。
「お主、何をやっているのだ?このままではあやつが魔法を使うぞ?」
「わ、わかってるよ、でも・・・」
「お主があやつに言ったのではないか?「命を大切にせよ」と。このままではあやつは魔法を使うぞ、その命を削ってな」
イルルの声には少しの笑みが含まれていた。
その声に雨津羽も気付いていた。
それなのに何も言い返せない自分に腹が立っていた。
目の前では今まさに魔法の打ち合いが始まろうとしていた。
「どうにかしたいと思わんのか?お主の力で、あやつに魔法を使わせないようにしたいと思わんのか?」
「それはそうだよ!でも、僕が、どうしたら・・・」
悩む雨津羽を前に、口元に笑みが浮かぶイルル。
「ならば、以前教えた魔法を、お主が使えばよい。わっちに力を注ぐ魔法を。きっとお主にしかできない魔法を」
「僕にしか、できない?」
「そう、お主にしかできない、わっちがお主を見込んだ理由。その魔法を使えば、お主はこの状況を変えることができるぞ?」
確かに教えてもらった魔法はいくつかある。
その中でもイルルに魔力を注ぐ魔法は一つ。
特別な魔法の一つ。
「さぁ、迷っている暇はあるか?」
イルルの声に、雨津羽は今まさに魔法を使おうとしていた由未璃の手を取って逃げる方へ走り出す。
「ちょ、ちょっと!」
「いいですから!来てください!」
追っ手の放ってきた魔法を何とか避けて角を曲がって射線を切る。
しばらく走って雨津羽が手を離すと由未璃は少し彼から距離を取ってもう一度戦闘態勢を取る。
「結局逃げたって変わらないんだから、ここで・・・」
「由未璃さんは下がっていてください」
追っ手と由未璃の間に雨津羽は立ちふさがる。
「は?あんただけで何しようって」
「いいから!由未璃さんは魔法を使わないでください。・・・約束したじゃないですか、命を大事にするって」
「でも、こんな状況でそんなこと言ってる場合じゃ」
「こんな状況だからです!」
追っ手が見える。
時間はない。
「僕がどうなっていても、逃げてくださいね」
指を組む雨津羽。
「手印・・・!?あんた何しようと・・・」
雨津羽は目を瞑り唱える。
「虚事禍異禍異(きょじかいかい)、現変乃夢(げんぺんのゆめ)、継断精果(けいだんじょうか)、魂髄開(こんずいかい)、イルル・・・!」
直後、雨津羽の意識は遠くに霧散したような、それでいて近くに凝縮されたかのような感じたことのない精神の乱れを味わい、意識が遠のく。
しかし意識はぎりぎりのところで保つことができた。
生憎立っていることはままならず、天地の上下も分からず今どういう状況かも分からないが。
情けないなあと雨津羽は思う。
しかしその耳にイルルの声が聞こえる。
「さすがはわっちの見込んだ童だ。これを唱えても意識を保つとはのう。よいよい。その詠唱に応えてやるぞ。意識は失わないでくれよ」
薄っすら目を開けた雨津羽の目に映ったのは普段とは全く別の姿になったイルルだった。
これがイルルーーイリュートルベロタの本当の姿なのか。
「なに、これ・・・どうしてネシュアの姿が・・・」
近くで由未璃の驚きを含んだ声が聞こえる。
そうか、今、イルルの姿は由未璃にも見えているのか。
雨津羽は働かない頭で漠然と現状を見ていた。
遠くではイルルが追っ手に飛び掛かって、まさに彼の魔力で彼らの魔法を使えなくしている。
なんて、なんて強いんだ。
全く僕には似合わないネシュアだな。
追っ手が逃げていく。イルルがこちらに戻ってくるのが見える。
そうか、とりあえず終わったのか。
そう気が抜けた瞬間に、雨津羽の意識は途絶えた。
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