論理と情緒 合理と非合理一見矛盾する二つの価値観が調和する私たちは桜の下で宴会を開きながら その散りゆく美しさに胸を打たれる最先端の新幹線の窓から田園に広がる古き良き農村風景に郷愁を覚える緻密な計算で建てられた近代建築の隣に江戸時代から続く稲荷神社の赤い鳥居が小さな灯のように残っている…これらはすべて 日本が論理だけでは測れない価値を決して見失わない証しである日本はこの矛盾の美が日常に溶け込んでいるのだ茶道には物理的な合理性を超えた わびさびがあり武士道には単なる戦闘技術ではない仁義がある私たちは無意識のうちに効率や利益だけでは計れない何かを大切に受け継いでいる日本の素晴らしさとはどちらかを選ぶのではなく両方を抱きしめる姿勢にあるということ科学で世界をリードしながら千年の風情を街角に残すグローバルに活躍しながら地域の祭りを心から楽しむこの絶妙なバランスこそが世界中が この日本に感じる品格の正体なのだ矛盾を感じさせない寛容さ古いものと新しいものが並んで輝く調和私たちの日常はこんなにも深い価値観の上に穏やかに築かれているのだそして気づかぬうちにあまりにも豊かな文化的な酸素を吸って生きているこの国に生まれたことは紛れもない奇跡なのである#藤原正彦#国家の品格