【連続GRAVITY小説】〜Gravity-Link〜第三章 ~彼らが捧げる、たった一つの純情~第58話:透明な朝の決意スマホの画面の中で、文字が静かに震えているように見えた。ニトの激しい言葉を受け止めた後、新メンバーのきよが、ずっと隠していた本当の気持ちを打ち明けたのだ。「ニトさん、私を必要としてくれてありがとう。でも……本当は、すごく怖いんです。前の私は、誰かに寄りかかってばかりで、結局その人を疲れさせて、大事な関係を全部壊してしまったから。ニトさんの熱い優しさに甘えてしまったら、私はまた、一人で歩くことをやめてしまう気がして……」その言葉は、ニトの胸に冷たい水のように染み込んだ。葵やももたろうに「それは強引すぎる」と叱られたとき、ニトは心のどこかで反発していた。けれど、きよの震えるようなログを見て、ようやく気づいた。自分は彼女を救いたいのではなく、ただ自分の寂しさを埋めるために、彼女を縛りつけようとしていただけだったのだ。ニトは、スマホを握る手に込めていた力を、ふっと抜いた。「……ごめん、きよさん。君の言う通りだ。君が勇気を出して変わろうとしているのに、僕がその邪魔をしていたんだね」ニトが送ったメッセージからは、もうトゲトゲした空気は消えていた。ただ相手を追いかけるのが恋じゃない。相手が自分の足で立つのを信じて待つこと。それが、今の自分にできる「大人の優しさ」なのだと、彼は初めて知った。「私、自分の力で前向きになりたい。もっとみんなと、対等に仲良くなりたいです」きよの真っ直ぐな言葉に、ルームの仲間たちも温かなエールを送った。夜が明け、街が青く澄みきった光に包まれる頃。ルームに一人の男性がログインしてきた。やざわだ。彼はこれまでの長いログを静かに読み返し、冷たい水のような一言を書き込んだ。「ずいぶん熱い夜だったようですね。でも、朝の空気はもっとスッキリしているべきだ。感情に流されるのも悪くないですが、もう少し高いところから自分を見てみませんか?」その言葉は、熱を帯びていたルームの空気を一瞬で変えた。ニトは、不思議と嫌な気分ではなかった。憑き物が落ちたような爽やかな気分で、新しい風を連れてきたやざわの登場を、静かに見守っていた。(つづく)#連続GRAVITY小説 #第58話#この物語はフィクションです #またくっつかなかった #storysong