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あきっくす😗

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【連続GRAVITY小説】
〜Gravity-Link〜
第三章 ~彼らが捧げる、たった一つの純情~

第56話:焦燥の赤い薔薇

深夜の静寂が去り、「Gravity-Link」に新しい朝の光が差し込む。しかし、その穏やかさとは裏腹に、ニトの心にはどす黒い熱情が渦巻いていた。
(……結局、黙って見守るだけでは何も手に入らないんだ)
ニトは、昨夜のテスターの潔い引き際を思い返し、苦く笑った。彼はかつて、誰よりも情熱的にゆかりを想っていた。しかし、彼女の心は別の男である「まぁず」へと向かい、ニトの手の中には何も残らなかった。その喪失感と、テスターが見せた「引く美学」への反発が、四十代前半という彼の分別を、今、激しく揺さぶっていた。
もう、誰かの幸せを祈るだけの善人には戻れない。
そんな彼の前に、震える指先で初めての挨拶を綴る影があった。新メンバーのきよだった。
「初めまして……きよと言います。私、自分に自信が持てなくて、ポジティブになりたいけれど、どうすればいいか分からなくて。でも、皆さんと仲良くなりたいです」
きよが吐露した「空白」は、自信のなさと自立心への渇望。その消え入りそうな声は、飢えていたニトの心に、導火線のように火をつけた。ニトは、ゆかりに届かなかった想いの残骸を燃料にするかのように、きよの言葉に食らいついた。
「きよさん。自信なんて、誰かに与えてもらうものじゃない。僕が君のすべてを肯定し、君の足場になってあげる」
ニトの言葉は、これまでの穏やかな聞き役としての面影を完全に捨て去っていた。それは優しさというよりも、相手を自分の熱量で包み込み、どこへも逃がさないという独占欲に近い。
きよは、画面越しに届くその強烈な熱に、戸惑いながらも息を呑んだ。
(この人は、私が必要としているものを、全部持っているかもしれない……)
「私……そんな風に言ってもらえたの、初めてです。ニトさん」
きよの「私」という一人称が、ニトの情熱に応えるように微かに震える。しかし、その急激な二人の接近を、ルームの仲間たちは見逃さなかった。葵やももたろうの間に、これまでとは違う、不穏で熱い嵐の予感が広がっていく。
ニトは、もう止まるつもりはなかった。たとえそれが、ルームの秩序を壊す暴走だとしても、彼は一輪の赤い薔薇を奪い取るように、きよの心へと踏み込んでいった。
(つづく)


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