【連続GRAVITY小説】〜Gravity-Link〜第十一話:引力の正体【 あきっくすのデスク / 深夜 】 ルームを閉じた直後、画面の隅で震えた一通の通知。送り主は、先ほどまでルームで穏やかに相槌を打っていた「テスター」さんだった。『あきっくすさん、夜分にすみません。今日のもちこさんとけーぞーさんの話を聞いていて、どうしてもお伝えしたくなって……。少し、僕の記憶を探ってみてもいいですか?』 あきっくすは、キーボードを叩く手を止めた。 テスターさんのその言葉には、いつもの冷静な彼とは違う、どこか熱を帯びた響きがあった。【 数分後、届いた二通目のメッセージ 】『先日、新潟でけーぞーさんと実際にお会いした時。初めて会った気がしなかったのは、ネットの付き合いが長いからだと思っていました。でも、さっきもちこさんが語った「数年前のギャラリー」の話を聞いて、繋がったんです。……僕も、あの場所にいた。そして、そこで誰かと短い言葉を交わした記憶があるんです』 あきっくすは息を呑んだ。 あの日、テスターさんが新潟のホテルでけーぞーさんと対面した時に感じた「正体不明の懐かしさ」。それは、画面越しの文字のやり取り以前の、もっと深い、肌で感じた「温度」の記憶だったのかもしれない。(もし、あのギャラリーに、テスターさんも、もちこさんも、けーぞーさんもいたのだとしたら……) あきっくすは、自分のタイムラインに並ぶ三人のアイコンを見つめた。 そこには、声も顔も知らないはずの三人を、目に見えない糸が手繰り寄せているような、奇妙で、けれど胸が熱くなるような引力が働いていた。【 あきっくすの心情 】 ふと、けーぞーさんの言葉を思い出す。 彼女は、あきっくすに対してだけは、時折、他の誰にも見せないような、柔らかく、少しだけ甘えるような言葉を選ぶことがある。(けーぞーさんが、このルームを選んでくれたことも。僕の言葉を「懐かしい」と言ってくれたことも……。全部、偶然じゃないのかも、なんて) そんな自惚(うぬぼ)れに近い想いが、あきっくすの胸をかすめる。 もし、過去のどこかですれ違っていた彼らが、今、自分の周りに集まっているのだとしたら。それは、自分もまた、その「失われた記憶の輪」の一部なのではないか。 あきっくすは、テスターさんへの返信にこう綴った。『テスターさん、ゆっくりで大丈夫です。その記憶が、どんな色をしていたのか……また今度、教えてください。僕も、もう少しこの「予感」を大切にしてみたいと思います』 スマホを置き、背もたれに深く体を預ける。 新潟の雪夜に想いを馳せるけーぞー。どこか静かな場所で、過去を振り返っているであろうもちこ。 繋がっていないはずの点と点が、今、あきっくすという場所を介して、一つの物語になろうとしていた。#連続GRAVITY小説 #第11話#恋愛色がなくなってきていませんか? #単純な話がいいですよね? #storysong