歌舞伎には俳優の芸の魅力を引き立たせる歌舞伎義太夫がいます義太夫節は江戸時代中期に竹本義太夫が創出した邦楽で人形浄瑠璃文楽の演目を歌舞伎の世界に取り入れる際に生まれたのが歌舞伎義太夫なんです人形浄瑠璃文楽では物語を語り聞かせることに主眼が置かれていますが歌舞伎の場合はあくまでも俳優さんの芸の魅力を引き立たせるために語ります三味線と暗黙の呼吸を合わせ俳優さんが演技しやすいようその都度対応していくこと俳優主体の歌舞伎義太夫は生身の俳優さんに制約された中でいかに自分の芸を出していくかそこに苦労があり 面白みがある同じ舞台でも その日の体調次第で前日と少し違った部分が出てきますその調整の呼吸はもう経験しかない日々の積み重ねで身に付いてくる私がいつも若手に言っているのは楽屋の用事や雑用がきちんとできなきゃいけないということです例えば師匠方が着替えをする時にどのタイミングで着物を着せたらよいのかあるいはどのタイミングでお茶を出したらよいのか…それが舞台で俳優さんのタイミングを見計らうことに全部通じるんですなので お茶出しが下手な人はやはり舞台でも機転が利かない私もこの世界に入ったばかりの頃先輩に楽屋の用事が舞台の機転気働きに繋がるんだと真っ先に教えていただきましたまた見計らいというのは結局は思いやりなんですよバタバタ着物を着ている時にお茶を出しても埃が入りますからね帯を結び終わって座布団に座るタイミングですっと出すこれは相手を慮る思いやりの心なんです舞台でも俳優さんの芝居の邪魔になるような声を出さない作品に込められた心情を汲み取ってお客様に聞いていただくそれらは俳優さん お客様への思いやりの心がないとできませんですから思いやりの心を持ち心技体の中で まず心がちゃんしていないといけないと弟子たちに伝えています#竹本葵太夫#人間国宝#致知