肝不全で倒れた主人の容態は悪化し昏睡に近い状態に陥ったときのこと知人から肝臓移植の話を聞いたのはそういう時でした私の肝臓では適合しないと分かった時 名乗り出てくれたのは当時21歳の長男でした手術には相当の危険と激痛が伴います万一の際には命を捨てる覚悟も必要です私ですら尻込みしそうになったこの辛い移植手術を長男は全く躊躇せず"僕は大丈夫です 父を助けてください"この言葉を聞いて私は大泣きしましたそして幸いにも手術は成功しました長男のお腹には78箇所の小さな縫い目ができ、それを結ぶと まるで"人"という字のようでした長男がお世話になっている洋菓子店のオーナーさんが見舞いに来られた時手術痕を見ながら"この人という字に 人が寄ってくるよ 君は生きながらにして 仏様を彫ってもらったんだ お父さんだけでなく 会社と社員と家族を助けた この傷は君の勲章だぞ "とおっしゃいましたこの一言で私はどれだけ救われたことでしょうお腹の傷を誇らしげに見せる息子を見ながら "この子は私を超えた"と素直に思いました同時に 主人の病気と息子の生き方を通して私もまた大きく成長させてもらったと感謝の思いでいっぱいになったのです#秋丸由美子