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風ささ
張りつめた心は
今にも割れそうなシャボン玉
目に残る人の群れは氷のような
冷たさをなすりつける
眠れない夜の後には
残酷にもまた朝が来る
誰かを呼びながら
また さまよい歩く街
その人の温もりに
寂しい心を鎮めて
この秋を過ごしたくて

風ささ
誰にも出会えず
さまよい疲れた体は
救われずにあった夕べの
赤い血潮に蝕まれてゆく
壊れたテーブルに
寂しさに濡れた気持ちを置いて
鉛のような物思いにふける
明かりも点さず
青空の下の山並みに
はるかに憩う故郷が
脳裏に鮮やかに蘇る
―そこはすべてが穏やかにあるところだ
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