【連続GRAVITY小説】〜GravityーLink〜第三章 ~彼らが捧げる、たった一つの純情~第61話:絵に描けない本音深夜二時。ルームの賑やかなログはとうに止まり、画面の向こう側では静かな時間が流れていた。昼間のルームは、まるでお祭りのようだった。ニトが冗談を飛ばし、やざわが鋭いツッコミを入れ、テスターが優しく包み込む。その中心にはいつも、もちこの明るい笑い声と、楽しげなイラスト、そして景気のいい拍手のスタンプがあった。けれど、あの日以来、彼女の返信は目に見えて遅くなっていた。真っ暗なリビングで、もちこは一人、ソファに深く背を預けていた。手元のスマホだけが、淡く青白い光を放ち、彼女の濡れた頬を照らしている。そこに、一通の通知が届いた。あきっくすからだった。「もちこさん、無理して笑わなくていいよ。ここでは、誰の目も気にしなくていいんだから」その短く、けれど見透かしたような言葉に、彼女が必死で支えていた心のダムが崩れた。もちこは震える指先で、今まで誰にも、夫にさえ言えなかった本音を打ち明けた。「私……本当は、すごく寂しかったんです。会社でも家でも、私はいつも『誰かのため』の私でいなきゃいけなかった。明るくて、気が利いて、疲れを見せない私。でも、本当の私は、ただ誰かに『頑張ってるね』って言ってほしかった……」義理の両親への終わりのない気遣い、育児の責任、そして社会から取り残されているような「空白」。彼女がルームで連打していた拍手は、自分自身の折れそうな心を奮い立たせるための音でもあったのだ。あきっくすは、アドバイスをするわけでも、同情するわけでもなく、ただ静かに彼女の言葉を一つひとつ受け止めていった。「あきっくすさんにだけは、この『絵に描けない私』を見せてもいい気がしたんです」深夜の静寂の中で、二人の心の距離が、恋愛とは違う、もっと根源的な「絆」で結ばれていく。翌朝、ルームにログインしたもちこの手には、いつもの派手な「お疲れさまイラスト」ではなかった。そこには、朝露に濡れた小さな花のような、これまでよりもずっと優しく、澄んだ色合いの新しい絵が添えられていた。(つづく)#連続GRAVITY小説 #第61話 #私かっこよすぎませんか #もちこさん #storysong