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読書記録です。
オットー大帝
ー辺境の戦士から「神聖ローマ帝国」樹立者へ
三佐川亮宏 著
中公新書
オットー大帝の同時代に書かれた様々な史料から近年の研究成果まで、豊富な史料を読み込んで書かれた渾身の1冊となっています。
暗黒の時代のイメージが先行する10世紀に活躍したオットーがいかにして大帝と呼ばれるようになったか、その生涯をつづっています。
最終章においては神聖ローマ帝国の歴史的意義についても考察されており、ドイツはいかにしてドイツになったかが述べられています。
身内の反乱から異民族との戦いまで、オットーの生涯は戦争につぐ戦争で、危機的状況に陥っても不屈の闘志で勝利をつかんで大帝と呼ばれるまでになった男の生涯を、時代の息づかいが感じられるように書かれているので、読み応えがあります。
聖界諸侯の政治の役割や軍役の重さなど、王国支配にはローマ・カトリック教会が密接に絡んでいた中世ヨーロッパのありかたも解説されていて、中世ヨーロッパについて知る入門書としても適しています。
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アメジスト
読書しました。
神聖ローマ帝国
「弱体なる大国」の実像
山本文彦 著
962年のオットー大帝の戴冠から、1806年の帝国解体までの約850年の帝国の歴史を、帝国の制度の変遷を軸とした通史を描いた内容となっています。
三十年戦争の結果、ドイツの分裂は決定的となったと解釈する従来の説とは異なり、ウェストファリア条約にもとづく平和の保障を担うはずのスウェーデンやフランスが次々と戦争を起こしていく中で、神聖ローマ皇帝こそが「平和の守護者」として君臨して、皇帝権の復興の時代となったと解釈しているところに、本書の新しさを感じます。
また、ウェストファリア講和会議以降の時代において専門知識を持つ外交官が活躍する時代となったが、1663年にレーゲンスブルクで開催された永久帝国議会において出席する使節は法学の知識を持つ専門家が多く、彼ら使節の交流が、ヨーロッパ政治の国際政治において重要な役割を果たしていたそうです。
ウェストファリア体制において、帝国内の中小領邦は皇帝によって守られており、神聖ローマ帝国は従来言われていたような有名無実化したわけではないことが分かりました。
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