母は人生のギリギリの問題は自分で決断しなきゃならない結局は自分の覚悟で生きるそれを無言で教えてくれました戦争中は食べるものに事欠いた時代ですしましてや父もおりませんし小さな子どもを抱えながら貧しい生活でしたそれでも母は困った顔はしませんでしたね愚痴一つこぼしたことがないんですよ中学二年の頃 困ったことがあれば言ってくださいと母に言うと 全然角度を変えた言い方で私を諭してくれました"明日食べる米がなくても 愚痴を言わないよ"とそれはなぜか聞いてみると"あんたが社会に出て努力して 責任ある立場になった時 私がいま愚痴を言ったら おまえはその壁の前で 必ず愚痴を言う だから もし壁にぶつかった時 ー お母さんはよく 愚痴を言わずに乗り越えたな お母さんありがとう 私はそう言われる母になりたい"と言ったのです私は中学二年でしたが母の孝養のために"一生愚痴は言うまい"とこの時決めました"試練を乗り越える"なんて何も分からない時でしたが母の生き方が私に誓うことを教え乗り越えることを教えてくれたのです#石川洋