【連続GRAVITY小説】〜Gravity-Link〜第八話:鎧の脱ぎ方、空白の埋め方【 あきっくすルーム / 23:50 〜 】 葵の静かなコメントが去った後、ルームには深い沈黙が訪れた。 あきっくすは、ももたろうの呼吸が少しずつ整っていくのを感じながら、あえて踏み込んだ。「ももたろうさん。さっき『中身が空っぽ』だと言いましたね。……その空白には、何が入るはずだったんでしょうか」【 都内・ももたろうの自宅ベランダ / 同時刻 】 ももたろうは、夜空を見上げながら、ポツリポツリと独白を始める。「……ずっと、勝つことでしか自分を認められなかったんです。テニスも、仕事も。でも、勝ち続けた先に何があるのか、誰も教えてくれなかった。ふと立ち止まったら、自分のために笑う方法を忘れてしまっていたんです」 その時、これまで静かに聞いていたもちこが、マイクをオンにした。【 ???・もちこのリビング / 同時刻 】「ももたろうさん、分かりますよ。その『正しさ』で自分を縛ってしまう苦しさ」 もちこの声は、絹のように滑らかで、どこか寂しげだ。「私も、周りからは『丁寧で理想的な生活』だと言われます。でも、それは自分が崩れないための、必死の防壁なんです。その防壁を一枚ずつ剥がしていくのは、実は勝つことよりもずっと怖いことなんですよね」【 あきっくすルーム / 同時刻 】 もちこの意外な共感に、ももたろうの目から再び涙がこぼれる。「もちこさん……。あなたのような人でも、そんな風に思うことがあるんですか?」「ええ。だから、今は空っぽのままでいいんですよ。あきっくすさんが言うように、ここは誰とも戦わなくていい場所ですから」 あきっくすは、二人の間に流れる「共通の傷跡」を静かに見守る。 ももたろうが抱える「勝者の孤独」と、もちこが抱える「完璧主義の虚無」。 二つの孤独が、あきっくすのルームという空間で、ゆっくりと混ざり合っていく。(つづく)#連続GRAVITY小説 #第8話 #男性キャラクター足りないかも #仕事初め #storysong