共感で繋がるSNS
人気
Marleaux D

Marleaux D

Hope In a Darkened Heart / Virginia Astley

特別な一枚。このアルバムはそう言って差し支えない。ふたりの大切な友人と繋がる為の大きなキッカケを齎してくれたからだ。

物書きであるMとは、生前のMick Karnの闘病支援グループで知り合った。他にも共通する趣味はあったものの、それまでのやり取りの中で、博識で多忙な身の彼は浅識な私に見切りをつけようとする正にそんなタイミングだった。だが、当時マニアでもなければ知らない埋もれた名盤を私が取り上げた途端、彼の態度は豹変し俄然私への興味を示し始めたのだ。もしもあの時、あのタイミングでこのアルバムの話題を出さなかったならば、そのまま友人となることもなく、ネット越しの交流は断ち切られていただろう。以後、その日を境にしてオフでもバカ騒ぎするほどの仲となった。 

或る共通の音楽家を通じて知り合ったHとの関係も同様だ。売れたバンドのメンバーであった彼とは、共通するバックボーンに話を弾ませることはあったが、このアルバムを出すや否や、それこそ大きなリアクションを見せ関係は激変した。繋げてくれた音楽家はその後急死してしまうのだが、彼ほど私に多くのことを齎してくれた人もいない。音楽全般は勿論のこと、ミュージシャンズ・ミュージシャンとしても、Hを始めとする多くの繋がりを含めて。
大きなホールでファンを集めて執り行われたお別れ会の時、人混みから私を見つけたHが友人の死後に作ったユニットで、ずっとやりたかった音(本アルバムに誘発されたもの)を漸く聴いてもらえると語ったのを今も覚えている。

私がこのアルバムを見つけたのは、輸入盤レコードの棚の中だった。当時ジャケットに釣られて取り出したアルバムのクレジットに声が出るほど驚いた。一曲目がDavid Sylvianとのデュエット、そしてアルバム全体のプロデュースには坂本龍一の名がクレジットされていたからだ。まだ無名のSSWであった彼女のプロデュースを教授がやる経緯がどうであれ、女性ボーカルモノのプロデュースには特別な魅力を感じていた。このアルバムとの出会いが偶然であったのか必然なのか、これが後にふたりの友人との繋がりに大きな影響を与えることになろうとは思も寄らなかった。

今後このアルバムを特別な一枚として共有できる友人が現れるだろうか…

#特別な一枚
GRAVITY

Some Small Hope

Virginia Astley

夜更かしの星夜更かしの星
GRAVITY11
GRAVITY19
関連検索ワード