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りりか

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[妄想 鹿編]

奈良公園には鹿が沢山いる。

ホテルでの朝食を済ませ、仕事の時間まで余裕がありそうなので朝の奈良公園を散歩する。
まだ肌寒いが、歩いていれば暖かくなる。

平日なので出勤する人や旅行客などそれなりに歩いている人もいる。
ふと、前を歩いている人の足元をみると、スーツのズボンの片方が靴下に挟まって、ちょっと上がっている。

「ふふっ」と声が漏れる。
なんだか可愛い。
後ろ姿からは、よくわからないがパリッとしたスーツがなかなか渋い雰囲気で、きっと普段は卒なく仕事をこなすような人なんじゃないかなって想像する。

私の声が聞こえたのか、スーツの男性が少し振り向く。
やばい、どストライクな渋メンだ。

だからと言って声を掛ける勇気もないし、特に期待するのもお門違いだ。
なんてことを思っていると、ふいに横から声が聞こえた。

「声掛ければ良いじゃない。旅先なんだし。旅の恥はかき捨て?でしょ。」

横を見ると、鹿がこちらを見つめている。

鹿が喋ったのか、私の心の声なのか。

どちらでも良いや。
あの人も靴下にスーツの裾が入ったままでは恥ずかしいだろうし。

「あの、すいません!スーツの裾が…」

思い切って話しかけると、照れ笑いしながら感謝してくれた。
その笑いかたの煌びやかなこと。
それだけで、今日一日頑張れる気がした。

#奈良公園
#鹿男あをによし
#渋メンの笑顔が生きる糧
#平城京に寄ったらすごい良かった

サヨナラ奈良ー[ハート]
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