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NASAで惑星探査機の打ち上げに
関わった佐治晴夫さんの講話です


ボイジャーは太陽系の惑星を
観測するという目的と もう一つ
地球外生物を発見しようという
夢のプロジェクトだったのです

惑星探査機ボイジャーは
二機打ち上げられています
1号に整備不良が見つかり
先に2号が1977年に打ち上げられ
約2週間遅れて
1号が打ち上げられました

スタッフはボイジャーのことを
"ボイジャー君"と
擬人化して呼んでいました

ある女性スタッフはいつも
"あの子"
という言い方をしていました

というのもボイジャーは本来
人間がやるべきことを人に
代わりやるという任務を
担っているからです

すなわちスタッフの目 耳 手 足の
延長上にボイジャーはいたのです
スタッフはみんな彼をを機械だと
思う人は誰もいませんでした

だからボイジャー1号の打ち上げの
前日はスタッフはお別れ会開催した

ボイジャーは一度打ち上げると
二度と地球に戻ってきません
何十年後とずっと果てしなき宇宙を
進み続けるのです

ボイジャーがものすごい炎をあげて
地球を旅立ちました
スタッフはみんな涙を流しました

永遠の別れという悲しみと
彼はたった一人で真っ暗な宇宙を
突き進み 健気に映像を撮影しては
地球に送り続けるという任務を
果たすことを思うだけで
切なくなるのでした

火星 木星 土星
ボイジャーはいろんな惑星の姿を
撮影しながら どんどん地球から
遠ざかっていきました

そして
1990年に太陽系の探査が終わり
ボイジャー班は
解散することになりました

そのとき一人の女性スタッフが
ボイジャーに向かって
泣きながらこう言いました

"私は今まであなたに
可能な限り星の近くまで行って
細やかな映像を撮って送ってと
言い続けてきたわね
あなたはそれに応えてくれたわ

そしてすべての役割を終えて 今
あなたは永遠に宇宙への一人旅に
出てしまうのね… ボイジャー

最後に私のほうを振り返って! 
私はあなたのお母さんなのよ "

このとき彼の位置は地球から
65億キロも離れていましたが
1995年2月15日ボイジャーは
彼女の呼びかけに応えて振り返り
地球の写真を撮ってくれたのです

"私が言ったら
あの子は振り返ってくれたわ
太陽がまぶしかったでしょうね
でもちゃんとかわいいお手々で
64枚の太陽系の家族写真を撮って
送ってくれたわ" と言って
彼女は泣き崩れました

そしてボイジャーは独り
太陽系を出て行きました

今もはるか宇宙の彼方を
ボイジャーは飛んでいると思うと
胸に迫るものがありますね

#水谷もりひと
#日本講演新聞
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