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みおこんぼ

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#GRAVITY百物語
#不思議な話

「あの夏」①

高校1年生の夏のことでした。
クラスメイトのTさんが亡くなりました。
夏休みに入ったばかりのこと。学級代表からの電話で、その川の事故を知りました。

「クラスの数人で遊びに行ったんだって。Tちゃんだけ、いなくなって、まだ見つからないって……きっとすぐ見つかるよね?大丈夫だよね?」

これは私が長年、ずっと悔やみ続けている出来事です。
当時の私は、とても薄情な人間でした。家の都合で引っ越しが続き、新しい人間関係を作るのも億劫で、その上相貌失認症でしたから……思春期、ということもあったのでしょう。
私は、人の顔と名前を結びつける努力を一切しなくなっていました。

その場しのぎの会話で盛り上がり、特定の仲良しが少しいればそれで良くて、あとは有象無象。誰に対してもいい顔をして、敵さえ作らなければ良いと思って生きていました。あの夏までは。

学級代表から電話をもらった次の日の朝、担任から電話がかかってきました。

「Tさん、見つかったって……。」

その声で、Tさんは亡くなったのだなと、悟りました。
「それで、今から学校に来て欲しくて……学級副代表のあなたに、Tさんの弔辞を書いて、お葬式で、読んで欲しいの。」声を詰まらせながら、担任は言いました。
「それは……学級代表じゃ、ないんですか?」と聞くと、「実はね、学級代表のYさん、ちょうどTさんのグループと、うまくいっていなかったそうなの。Tさんとは喧嘩したままだって、泣いてね……とても弔辞が書けるような状態じゃなくて。」苦しそうに言う担任にそれ以上なにも言えず、私は了承して家を出ました。

(私なんて……Tさんの顔さえ浮かばないのに?)

学校に着いたら、やっぱり断ろう。私にはその資格がない。そう、強く思いました。弔辞は、仲のいい人が読むべきに決まっている。
学校に着いて、担任の顔を見て、言葉が詰まりました。憔悴し切ったその雰囲気に、何も言えなくなってしまったのです。

「ごめんなさいね、急に……。これ、読んでくれる?」

手渡されたのは、一通の手紙でした。
私のクラスでは、クラスメイトの誕生日に全員で手紙を書いて渡すという決まりがありました。夏休みに入ってから誕生日を迎える私には、夏休み前にみんなが書いた手紙を担任が預かっていたのです。

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