#GRAVITY百物語#怖い話「ぼんぼん」①長野県松本市に住んでいたときのお話です。当時、引っ越してきたばかりで小学3年生だった私は、町内会の行事に初めて参加しました。夏休みに入ると行事の準備で小学生は公民館に集められ、何やら歌を習いました。その歌はなんとも暗く、歌詞も意味不明で恐ろしく、私は苦手でした。歌の歌詞は、以下のようなものです。ぼんぼん とても今日明日ばかり明後日はお嫁のしおれ草しおれた草を櫓(やぐら)にのせて下からお見ればぼたんの花ぼたんの花は散っても咲くが情けのお花はいまばかり情けのお花 ほいほい八百屋の前で茄子の皮ひろってお竹さんもおいでお松さんもおいでままごと遊びにみなおいでままごと遊び ほいほい六九(ろっく)はいやだ六九はいやだろくろっ首がふたつに割れて中からおばけ ほいほい哀愁のあるメロディに、不気味な歌詞でした。この歌詞はほんの一部です。とにかく長い歌でした。松本市にいたのは、ほんの少しの間だったにも関わらず、大人になった今でもこのうたは歌えます。行事当日になると女の子は頭に花飾りを付け、浴衣姿で提灯を持ち、男の子はその後ろをついて来ます。そしてうたを歌いながら町内を練り歩き、各戸のインターホンを鳴らして回るのです。インターホンの音を聞いて住人が出てくると、ハロウィンのようにお菓子がもらえました。このイベントは〈ぼんぼん〉と呼ばれていたのを覚えています。ただ、なんのためにやるかなど、詳細は一切分かりません。子どもたちになんの説明もなく行われるその行事に、私は疑問を持っていました。この地域の住人は昔から当たり前に行っていたからか、誰も「ぼんぼんって何?あの歌はなんのために歌うの?」とは言いません。それがまた、なんだか怖かったのです。#本当にあった怖い話#私の実話シリーズ#残り90話