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アメジスト
読書しました。
歴史学者という病
本郷和人 著
講談社現代新書
東京大学史料編纂所教授を務める著者が自叙伝を語りながら、歴史学についての持論を述べていく内容となっています。
平安時代の宇多天皇の時代以降、日本では国史の編纂を行わなくなってしまいましたが、東京大学史料編纂所では、その宇多天皇の時代から幕末までを対象とするおよそ980年分の歴史をまとめようという壮大なプロジェクトが行われているようです。
著者が担当しているのは、承久の乱から鎌倉幕府滅亡までの時代までを対象とする第5篇で、1251年までの史料を収めた37巻までが、完成しているそうです。
第2章は勉強になりました。
物語としての歴史と学問としての歴史は全く違うとのことです。
歴史学というのは実証を重んじる科学なので、人間の内面にこだわってはいけないそうです。
歴史上の人物の心の中へ分け入り、「当時この人はこんなことを考えていたのだ」ということを語るのは、作家や文学研究者の仕事であって、歴史学を研究する者の立ち入るべき場所ではないそうです。
著者は2025年に65歳の定年を迎えるそうですが、これからの人生を、歴史学という学問の魅力を世間に発信していく、ヒストリカル・コミュニケーターとして活動していきたいとのことです。
自叙伝的な内容なので、著者の人間臭さも垣間見える内容となっていて、著者を応援したくなる気分になりました。
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アメジスト
読書しました。
ジェンダー史10講
姫岡とし子 著
岩波新書
新しい発見がある内容でした。
現代人が思い描く理想的な家族像。
夫婦や親子が強い情愛で結ばれ、私的で閉鎖的で親密な、そして女性がケアをするという性別役割分担というのは、近代に作られたものであるということを知ることができました。
また「女性は家庭」という性別役割分担を固定化する価値観である「母性は本能である説」も近代の産物であることに驚きました。
ルイ14世の有名な肖像画は、ストッキングにハイヒールを履いた華美な衣装であることからわかる通り、現代人が思っているような男性らしい服装や女性らしい服装も特定の時代条件の中でつくられたものです。
いわゆる伝統的な家族価値観と呼ばれるものや男性らしさ、女性らしさというのは特定の時代の特定の文化がつくったものであって、時代を超えた普遍性というものはないということがわかりました。
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